「できる日本語」がよくわかる!

インタビュー 教科書採用現場に聞く!

使用している教科書を変更する――それは、学校にとっても教師にとっても一大事です。変更という決断までにどんなことを考え、実行したのでしょうか。また、実際に使い始めてから、学校や教師に何が起きたのでしょうか。「できる日本語」シリーズを使い始めた採用現場の先生方に、その舞台裏を伺いました。

Interview Vol.4 ECC国際外語専門学校 日本語学科

13/9/9 UP

勇気を持って一歩を踏み出す

"勇気を持って一歩を踏み出す"

大阪にあるECC国際外語専門学校日本語学科では、それまで使用していた教科書の絶版に伴い、教科書の変更を余儀なくされました。試行錯誤のうえ選択したのが、「できる日本語」シリーズです。教科書を決定するまで、決定してからのお話を、学科長の中村竜二さんと、専任講師の山根大輔さんにお聞きしました。

どのような経緯で「できる日本語」シリーズを使うことになったのですか。

中村:

使用していた教科書が絶版、ということになり、変えざるを得なくなったのがきっかけでした。そこで、2013年1月から3カ月間、週1回6人の講師が集まり、教科書選定会議を開きました。いくつか候補の教科書をピックアップして、一人の講師が一つの教科書を研究し、プレゼンするという形式のものです。その中の一つとして「できる日本語」シリーズがありました。

それと並行して、それまでの教科書で行っていた文法中心に教えるやり方を続けるのが、果たして最良なのかという議論も行われました。文法中心ですと、評価も、文法が一定のレベルに達しているかに依るところが大きくなります。これまで、日本語でのコミュニケーションはうまく取れているのに文法中心のテストではうまく点が取れないため、上のレベルに上がれずに、同じレベルを繰り返す学習者が少なからずいたのです。「文法中心でやっているのにその力が付いていないのでは」「学習者の伝えたい気持ちをつぶしてしまっていないか」という疑問が浮かび上がっていました。

そういった会議、議論から、一人一人がこれまでを振り返り、自問自答を重ねたのち、「できる日本語」シリーズの使用を決定する気持ちが除々に固まっていったんです。

教科書の移行はスムーズにいきましたか。

中村:

実は会話重視のクラスで、それまでの教科書を使いつつ、補助教材として『できる日本語 初級 本冊』を使っていたので、ある程度、使用感や成果をつかむことはできていたんです。ただ、初級、初中級と今までの文法中心の教科書を使用していたクラスが、中級から『できる日本語 中級 本冊』に変更したケースでは、授業の内容、進み方がかなり違うので混乱が起きているようです。教師も学習者も、長年、文法中心でやってきているのですから、すぐに切り替えができず、戸惑うのはあたりまえですよね。まずは教師が変わらないと、ということで、教科書についてのオリエンテーションや、意見交換会などを行っています。

そのように苦労はありますが、「できる日本語」シリーズを使用した成果も出始めています。

そうですか。学習者、教師にどのような変化、成果が表れていますか。

『できる日本語 中級 本冊』を使用しているクラスの皆さん

山根:

今までの教科書では、例えば助詞なら助詞がうまく使えるように反復練習します。ですが、そのように「文法を正しく使うこと」を学習した学習者より、「できる日本語」シリーズを使った学習者の方が圧倒的に文法をうまく使いこなしているんです。

このシリーズでは自然な状況設定の会話の中から文法を学ぶことができます。出てくる会話は、同じような状況に遭遇したときそのまま使うことができるので、ことさら文法を意識しなくても誤りなく使うことができているのではないかと思います。

また、これまでの教科書を使用した学習者と「できる日本語」シリーズで学んだ学習者の中で格段に違いが出たのが作文のテストです。「できる日本語」シリーズでは授業の中に作文や発表が組み込まれていて、文章力が普段の活動の中で自然に磨かれています。ですので作文のテストといっても特別なことではなくなっているんです。ある講師が「満点近くなりそうな作文が多いんですけど、そんなに満点を付けていいものですか」と相談に来たくらい(笑)、文章力が伸びていますね。

教師の変化で印象深いのは、授業後の引き継ぎで話している内容です。今まではまとめテストの点数がどうだったかとか宿題にこんなミスがあった、とかいう話が多かったんです。でも「できる日本語」シリーズに変更してからは「学習者がこんな面白い文章を書いた」など、楽しんで学んでいる学習者の成長を、喜んでいる内容が多く聞かれるようになりました。

『できる日本語』の本冊では課の最後に「できる!」という、その課で学んだことを実際の場面につなげる活動があるのが特徴ですが、どのように実行なさっていますか。

『できる日本語 中級 本冊』を使用しているクラスの皆さん

山根:

『できる日本語』を使い始めた当初は「できる!」をあまり重要視していませんでした。「おまけ」という意識があったんですね。でもあるとき監修の嶋田先生から「できる!」をやる意義を説かれ、それをきっかけに取り組み始めました。それでこの前は「ボランティアに参加してみましょう」という活動を実施しました。老人福祉の施設が近所にあることがわかったので、担当者に連絡を取り、学習者35人がグループに分かれて訪問したんです。

学習者によると、お年寄りは相手が外国人ということを意識せず、自分の故郷のことなんかを大阪弁で勢いよく話しかけてきたそうです。習ったことを発揮しようと訪問したものの圧倒されて、生の日本語ってこんなに難しいんだ、とよい刺激になったみたいです。このような例から、教科書の課の流れに沿って、レベルに関わらず外とつながる重要性を感じています。

それでは、これから教科書変更を検討している方たちに何かアドバイスをお願いします。

中村:

学習者の目線に立って一番いいのはどういうやり方だろう、と考えた末にいきついたのが「できる日本語」シリーズでした。教科書を変更するにあたっては、教師同士などで摩擦も生まれました。今、本校では対話を進める中で、除々にですが前に進めていると感じています。教科書を変更するのは大変なことですが、学校側が「学習者にとってどうか」を第一に考え、覚悟と勇気を持って一歩を踏み出すことは、結果としてきっと、学習者に目標達成のための近道を示すことにつながると思います。

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