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ことばの書き方(文字表記)

分類:漢字の書き方(部首)

「鯨(くじら)」は哺乳類なのに、なぜ「さかなへん」?
 クジラが「さかなへん」なのは、昔の人がクジラを魚だと思っていたからでしょう。

 ところで、言語(この場合は漢字)による物事の把握は、必ずしも科学的な分類と一致してはいません。我々はクジラが哺乳類であることを知っていますが、哺乳類を表す「へん」というものは存在しません。軟体動物を表す「へん」というものも持ちません。「さかなへん」「むしへん」の漢字を見てみますと、昔の人の物事の把握のあり方が垣間見られて、興味深いものがあります。なるべく日常目にする漢字を例にして、少しご紹介してみましょう。

 魚類ではないものを表す「さかなへん」の漢字には、「鯨」の他に「鮑(アワビ)」「鰐(ワニ)」などがあります。お手持ちの漢和辞典で「魚」という漢字を引いてみてください。当然「さかな。うお」という意味がありますが、「水中に住む動物」というような意味も見つかりませんでしたか? すなわち、昔の人は魚のみならず、水中に住む生き物に「さかなへん」を充てていたことがわかります。

 一方、水中に住む動物であっても、「蛸(タコ)」、「蛤(ハマグリ)」、「蟹(カニ)」「蛙(カエル)」など「さかなへん」でなく「むしへん」が充てられているものもあります。したがって、水中に住む生き物のうち、魚として把握されていたものには「さかなへん」が充てられ、それ以外には「さかなへん」あるいは「むしへん」が充てられており、後者において「さかなへん」を使うか「むしへん」を使うかの境界は曖昧なことがわかります。

 ちなみに、「むしへん」は昆虫類に限らず、いろいろな生き物を表す漢字を構成しています。上記以外にも「蝮(マムシ)」「蜘蛛(クモ)」「蜥蜴(トカゲ)」「蝸牛(カタツムリ)」などが見られ、「むしへん」が昆虫類だけでなく、小動物を表す漢字に用いられていることがわかります。



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