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ことばの仕組み(文法)

分類:助詞(の)

「(相手の名前)のばか!」と言うのに、なぜ「(相手の名前)はばか!」と言わない?
 「○○ は/が △△」という文において、「△△」には述語がくることになりますが、この述語が「○○」の性質を表すものである場合(例えばご質問の「ばか(だ)」もこの場合に該当しますが)、「○○は△△」という文は、「○○についていうと、それは△△という性質をもつ」という意味を表します。「太郎はばかだ」という文が表しているのは、「太郎についていうと、彼はばかであるという性質をもつ」という意味になります。また、「○○が△△」という文は、「△△という性質をもつものがどれ(誰)であるかというと、それは○○である」という意味を表します。「太郎がばかだ」という文では、「ばかであるという性質をもつ人がいる」ということが前提となっており、その性質をもつ人が「太郎」であるという意味を表しています。

 一方、「太郎のばか!」という発話がなされる場面を考えてみますと、それは上記の二つの場合(「太郎についていうと、彼はばかであるという性質をもつ」と「ばかであるのが誰かというと、それは太郎である」)のいずれにも合致しません。この発話の意図は「太郎がばかであること」全体をひとまとまりに提示することによって、発話者の何らかの感情(「怒り」や「失望」など)を表出することにあるわけですから、述語を伴わない名詞句の方が発話の意図に適しているということができます。

 他の助詞でなく何故「の」が用いられるかは難しい問題ですが、「の」のもつ意味の多様性がこれを受け入れる素地となっていると考えられます。



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