日本人の行動

日本人はよそよそしい? あつかましい?

回答:葦原恭子(東京学芸大学講師)、インターカルト日本語学校

Q.  子供が親に敬語で話さないのはなぜですか。(韓国)
A.  韓国では子供は親に敬語を使うようですね。日本でも昔は敬語でしたが、特に戦後になってから民主的な家族のイメージが定着し、ほとんど敬語を使いません。敬語というのは、尊敬の気持ちを表すことはもちろんですが、親しい仲かそうでないかということも表します。つまり、親しい仲で敬語を使うと、ちょっと改まった感じや、互いの心が遠くなったような感じがするのです。普段仲のいい夫婦がけんかをして、奥さんが「あなた、何を考えていらっしゃるんですか!?」というふうに急に敬語を使ったら、怒っているために気持ちが遠くなっていると考えたほうがいいと思います。尊敬しているからではありません。
Q.  お葬式などの悲しいときや、映画を見て楽しいときなど、
あまり泣いたり笑ったりしないのはどうしてですか。(韓国)
A.  感情を表に出す国の人たちから見れば、冷たいと思われるかもしれませんね。しかし日本人に、感情を他人の前であらわにすることに抵抗があります。例えば、お葬式などで親族が亡くなったとき、特にご主人がなくなった場合、その奥さんが人目もはばからず声を上げて泣くのは、あまり良いことではないと見られてしまいます。そんなときは、悲しみを心に秘めてぐっとがまんし、静かな、落ち着いた「気丈な態度」で弔問客を迎えるのが立派だとされているのです。
Q.  子供がお母さんの家事を手伝わないのはどうしてですか。 (タイ)
A.  家庭によっても違うと思いますが、日本は子供が必ず家事を手伝うという社会ではなくなったかもしれません。理由として考えられるのは、親が子供に望むのは、「いい成績」をとって「いい学校」に進み、「いい会社」に就職をすること、そのためにはできるだけ勉強してほしいと考えているからだと思われます。家庭内のコミュニケーションが少なくなっていて、子供と親が一緒に何かをすることが少なくなっていることも影響しているかもしれません。子供にとってはTVゲームなど夢中になるものがあり、親の手伝いは面倒くさいのでしょう。いずれにしても、あまりいい傾向とは言えませんね。
Q.  お礼を言うときでも「すみません」とよく言うのはなぜですか。 (韓国)
A.  「すみません」は謝る言葉でもありますが、お礼を言う時の言葉として使われることも多いので、文字通り「謝っている」とは考えないほうがいいと思います。だれかに感謝するとき、「あなたを煩わせて申し訳ない」「あなたの時間を使って申し訳ない」「あなたに気を遣ってもらって申し訳ない」という気持ちが働くとき、「すみません」という言葉が出てくるのです。他人に自分のせいで負担を与えること、それが日本人が最も避けたいと思うことなのです。
Q.  知らない人にぶつかっても謝らないのはどうしてですか。 (タイ)
A.  外国で道を歩いていると、肩が少し触れただけで"Sorry"と言われます。ある外国人は、日本では歩道が狭い上に人が大勢いるからしょっちゅうぶつかって、とてもいちいち謝っていられない、と言っていました。日本は、外でたまたま会った他人に声をかけなくてもかまわない社会です。電車で隣の席に座った人やエレベーターに乗り合わせた人に、特に何も言わなくても構いません。肩がぶつかっても謝らないというのも、そのような日本人の性格や日本社会の特徴が根っこにあるのかもしれません。でも、仕事では違います。日本であなたが何か物を買ってそれが不良品だったら、買った店に文句を言ってみてください。店員は自分の失敗ではなくても、とても丁寧に謝ります。外国ではそういうことは少ないですね。
Q.  日本の女性はどうして電車の中で化粧をするんですか。 (タイ)
A.  これは最近の傾向です。それも、都会だけだと思います。すべての日本人がそうではありません。身だしなみを整えている間というのは、他人に見せるものではないというのが常識だったのですが、今は違ってきたようですね。電車の中で化粧をすることに賛成する人は「どうして悪いのですか。電車の中で酔っ払っているおじさんや、抱き合っているカップルのほうがずっと迷惑でしょう」と言っています。電車の中の人の目を気にしない傾向も、強くなっているようです。
Q.  エスカレーターで転んだとき、日本人は笑ってだれも助けてくれませんでした。どうしてですか。 (ベトナム)
A.  もしとても危ない状況だったとしたら、その日本人の態度は良くないですね。ただ、状況にもよるとは思います。例えば駅のホームで椅子に座って、おなかをおさえて痛そうにしている人がいた場合、声をかけないことのほうが多いと思います。じっとしていれば治るのだろうから、あまり騒がずにそっとしておいたほうがいいかなと思ったり、人が多い場所であまり騒ぐと相手が恥ずかしいと感じるのではないかと思うからです。ただ、日本人は一般に社会的なマナーがまだ十分には身についていない面もあるとは思います。「紳士」だったら、笑ってなんかいないで、手を差し出して助けますよねえ。
Q.  なぜパチンコが好きな人が多いのですか。 (国籍不明)
A.  パチンコは少ない資金で誰でも簡単に始めることができ、始めたらやめられない「中毒性」があるようです。そこに目をつけた業者が次から次へと新しい店をオープンさせ、機械にも工夫をして一生懸命に客集めをしているため、今やパチンコは日本最大のレジャー産業となっています。ギャンブル性の強いパチンコを禁止している国もありますが、日本はそうではないために、パチンコが好きな人が多いのだと思います。
Q.  日本人の家族はどうして同じお風呂に皆入るんですか。汚いと思うんですが。 (台湾)
A.  体を洗ってから湯船に入るので、お風呂のお湯は汚くありません。プールの水を汚いとは言わないのと同じですね。一般的に、日本人はお風呂のお湯の中で体を温め、一日の疲れをとり、そしてリラックスします。中で体を洗うことはしません。家庭では家族が同じお風呂のお湯に入りますが、銭湯や温泉では他人同士が一緒に同じお風呂に入って、皆で入浴を楽しみます。
Q.  電車で本を読むときにどうしてみんなカバーをしているんですか。 (台湾)
A.  日本人には、自分が読んでいる本を人に見られたくないという気持ちが強い人が多いからだと思います。恥ずかしいとか、自分の興味のレベルを見透かされるのが嫌だとか、理由はいろいろだと思いますが……。カバーをかけて汚さずに読めば、その後で古本屋に売ることができると言う人もいます。本を買うと、以前は黙っていてもお店の人がカバーをかけてくれましたが、最近は資源の節約のために、カバーをかけるかどうか聞かれますね。
Q.  電車の中で席を譲っても、座らないのはどうしてですか。 (韓国)
A.  韓国と比べて、日本では儒教の影響による「年上を敬う」という習慣が徹底していません。ですから、「電車の中で、お年寄りには席を譲る」という行為に対する考え方は人それぞれで、中にはお年寄りがそばにいると寝たふりをする若者もいるようです。席を譲った場合でも、「私を年寄り扱いして!」と気分を悪くするお年寄りもいるかもしれません。でも、多くの場合は、日本人らしい「遠慮」で席に座らないのだと思います。もう一度「どうぞ、座ってください」と勧めれば、喜んで座ってくれる人も多いのではないでしょうか。
Q.  どうして日本人はよく弁当を食べますか。 (中国)
A.  弁当は、料理を持ち運べる容器に入れ、会社や学校、あるいは農作業やレジャーなどの野外活動の時に、食事(主に昼食)として食べるものです。そのような習慣は世界中で見られると思いますが、日本人は古くから弁当が大好きでした。その理由のひとつとして、日本のお米は冷めてからでも比較的おいしく食べられ、それにあわせてさまざまなおかずも工夫されたと思われます。江戸時代には、歌舞伎や芝居の幕間(休憩時間)に食べる「幕の内弁当」も発達しました。駅で買い、列車の中で食べる「駅弁」は明治時代に始まり、現在では全国に数えられないほどバラエティーに富んだ種類があります。1980年代からはコンビニエンスストアの普及とともに、いわゆる「コンビ二弁当」が一般化しました。この特徴は、電子レンジを使って店頭で温めてくれるというサービスがあることです。 最近では、空港で販売され、ターミナルや飛行機内で食べる「空弁」、高速道路のサービスエリアで販売される「早弁」なども人気を呼んでいます。
Q.  朝早くからパチコン屋の前に並んでいる人がいるのはどうでしてですか。 (韓国)
A.  パチンコの市場は29兆円ともいわれ、日本人の大好きなギャンブルです。しかし法律的にはギャンブルではなく、あくまでもゲームあるいはレジャーということになっています。 パチンコで勝つか負けるかは、どのパチンコ台を選ぶかで決まります。たくさん玉が出そうな台を自分で選ぶため、店の前に並び、開店と同時にわれ先にと、パチンコ店に駆け込むのです。ところで、行列ができているパチンコ店には「新装開店」と書かれていませんでしたか?パチンコ店は定期的にパチンコ台の一部を新しいものに入れ替えます。その日は「新装開店」と宣伝して、いつもより玉が多く出るようにパチンコ台を調節しておきます。お客さんへのサービスのようですが、本当は「新しい台はよく玉が出る」というイメージを持たせるためです。「新装開店」の日のパチンコ店の行列は特に長くなるようです。
Q.  どうして身内でも気を遣ったり、遠慮したりするのですか。 (韓国)
A.  日本人と韓国人では、「親しさ」のとらえ方に違いがあるようです。韓国では「友達」「家族」などの「親しい人」には、遠慮はしないというのが一般的ですね。感情を表に出して、親しい人に接しても、相手はそれを必ず受け止めてくれますし、「私のものはあなたのもの、あなたのものはわたしのもの」という感覚もあり、たとえば、親しい友達のうちへ行って、冷蔵庫を開けて、中に入っている牛乳を飲んでも、友達は怒ったりしませんね。韓国では、このようにすべてを受け入れ合える関係が「親しさ」の象徴となっています。しかし、日本では、「親しき仲にも礼儀あり」という言葉があります。これは、いくら親しい身内でも、相手のことを敬い、相手の気持ちを考えながら行動しなければならない、という考え方です。親しくなればなるほど、そのよい関係を維持していくために、相手との間に距離をおき、相手の立場に立って行動することを心掛けているわけです。そして、その気を遣っている様子が、韓国人の方から見ると、表面的に親しくしているだけで、冷たい関係のように見えてしまうのではないでしょうか。

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