教えるための文法

 わたしたちが外国語を勉強し始めて戸惑うことの一つに、単語の意味が1対1に対応していないことがあります。辞書を引いてそれぞれの単語の意味を調べ、置き換えていっても、必ずしも正しい訳文ができあがるとは限りません。


 「わたしは一郎さんに本をあげた」「一郎さんはわたしにCDをくれた」「わたしは一郎さんにCDをもらった」


 「あげる」「くれる」は、英語ではどう言うでしょうか。両方とも「give」の語を使うでしょう。多くの言語では、「あげる」と「くれる」は同じ語で表し、区別しません。しかし日本語では「あげる」と「くれる」は厳密に使い分けられ、「一郎さんはわたしに本をあげた」とは言えないのです。


 日本語では、与える側が主語で、「わたし」あるいは身内の方から外の人に物が移動するとき「あげる」を使い、外の人から身内側に物が移動するときは「くれる」を使います。


  「あげる」と「くれる」を学習者に教えるためには、その違いを、教える側がまず知っていなければなりません。

練習で身に付ける

 空気のようになじんでいて普段意識することもない日本語の文法を、日本語を第二言語として勉強する学習者の立場になって、見直す必要があります。基礎的な日本語を外国人に説明するための文法は、研究が進み、すでに知識が蓄積されていて、よい参考書がたくさんあります。一から自分の頭で考えて検討するというような時代ではありません。日本語教師を目指すなら、その成果を十分に理解し、説明できるようになって、学習者の効率的な日本語学習の力になりましょう。


 ただし、説明して理解させればそれでよいというものではありません。学習者はそれぞれの言葉の形と意味を、理解し、覚え、使いこなせるようにならなければならないのです。文法事項も結局は、練習し、反射的に口をついて出てくるように訓練されて、初めて身に付いたということになります。





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