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回答 水谷信子(明海大学教授)

 1 効果的なビデオの見せ方を教えてください。

Q
  学習者がビデオを見たがるので時々見せていますが、ただ漫然と見せてしまうことが多く、効果的でない気がします。どうしたら効果的な見せ方ができるでしょうか。
 
A
   ビデオ教材が効果的なのは情報量の多いことと学習者が集中しやすいことです。情報量の多いことを活用して日本事情の紹介などに使うことが多いと思います。この場合は一貫した方針と綿密な計画性をもって見せること。見せる前に簡単な予備知識や注目すべき点の指示を与える、見せた後で内容の把握や感想を言わせるなどが大切ですが、これは大抵の先生がやっておられることでしょう。このような情報源としての活用のほかに、練習のための利用をぜひ考えていただきたいと思います。市販のビデオ教材にはそれぞれの活用法の説明がついているでしょうから、テレビ番組の活用、自主制作のビデオなどを中心にお話しします。もちろん市販教材を独自の方法で活用するときの参考にもなるでしょう。

 挨拶などの言語行動のときの体の動かし方など、ビデオを見せるのが効果的です。「すみませんが......」と何かたずねたりする時、背をのばして腰に手をあてたり、胸をはって堂々と話しだしたりすることは異様です。男性でも案外小腰をかがめているものです。こうしたことをビデオで悟らせることはそれこそ「百聞は一見に如かず」です。

 また、映像だけ残して音声を消して何と言っているか考えさせることも、場面を選べばばできることです。つまり初級では日常のあいさつや依頼の応答場面など、中上級では反論や慰めの場面など。学習者に言わせてから巻き戻して音声を聞かせます。ばっちり正解か正解に近いかなど教師がコメントすれば効果的です。何よりも学習者が受け身でなく積極的に参加できる点に意義があります。この点では、いったん止めて先を予測させてから、次を見せるという「予測方式」も同様の効果があり、これは巻き戻しの手間がいりません。音声テープでもできることですが、ビデオのほうが迫力があります。

 さらに一定の場面の状況を描写させる「描写練習」があります。以前わたしが『サザエさん』の中で、カツオが教室で濡れたままの雑巾をぶつけあって級友と喧嘩していて、先生の姿を見てあわてて雑巾をしぼる場面を見せ、カツオの行動を描写させたところ、上級の学習者でしたが「濡れたまま」や「しぼる」などは容易に出てこなかったことがあります。初級なら「おじぎをした」「お茶を出した」などの簡単な場面を使えばいいでしょう。

 
 

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