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回答 水谷信子(明海大学教授)

 4 誤用分析の授業への役立て方を教えてください。

Q
  学習者の間違い(誤用)からいろいろと考える「誤用分析」について、どのようにして授業に役立てればいいのか、具体例を教えてください。
 
A
 

 学習者の誤用は音声、語彙、表現法などの面にわたりますが、誤用分析を授業に役立てる方法には二つの面があります。一つは授業の時の学習者の誤用や作文の中の誤用を分析して、次の機会に直すようにすることです。たとえば学習者が
  ――広いとしずかな公園です
と言ったとします。「お茶とおかし」のように体言と体言を結ぶのに使う「と」を、「広い」というイ形容詞の後に使ってしまった誤用ですから、イ形容詞の「く形」の復習が必要だということがわかります。それで次の授業のときに時間を見つけて練習して定着させます。ただ「イ形容詞のく形を言いなさい」と指示するのでなく、学習者が自分から言い出すように仕向けるといいでしょう。たとえばサッカーの選手の絵を見せて「どんな人」と問いかけ、「若い」「元気」という2語を与えて「若くて元気な人」と言わせるような方法で復習します。

 上の例は医学でいえば病気の人に対する対症療法のようなものです。医学でも語学でも治療よりむしろ予防のほうが大切でしょう。予防のためには、誤用分析の結果明らかになった、学習者が誤用に陥りそうな点について、教材や教授法を工夫することが必要です。たとえば多くの学習者にとって面倒なのは、
  火を消す――火が消える、ドアをしめる――ドアがしまる
のようないわゆる動詞の自他の対立と「が」と「を」の使い分けで、「火が消した」「ドアをしまった」のような誤用がかなり後まで残ります。このことが誤用分析の結果わかっていれば、教材を用意するとき、動詞と助詞を別々でなく組み合わせて覚えさせるというような配慮につながるでしょう。

 『日本語教育事典』(大修館書店)の「誤用」の項目には3ページにわたる説明があり、誤用についての一般的な説明の後、「格助詞の誤用」(1)で、(2)と、(3)の、(4)を、(5)に、(6)で、「接続助詞の誤用」(1)て、(2)と、(3)のに、(4)ながら、(5)ても、(6)から、について具体例があがっています。

 
 

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