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回答 水谷信子(明海大学教授)

 12 「~がる」の用法をどう教えたらよいのでしょうか。

Q
  「嫌がる」は言えても「好きがる」は言えません。また、「重たがる」は言えても「軽がる」は言えません。どう説明したらいいでしょうか。
 
A
 

 この質問は学習者から出たのか、ご自分で疑問に感じておられるのか、文面からはわかりませんが、もし学習者から出たのなら、熱心な学習者であると思います。まず「がる」は話し手の感情を表す語につきます。「寒い・暑い」のようなイ形容詞でも「嫌だ」のようなナ形容詞でも、あるいは「食べたい」のような形にもつきます。しかしどんな感情表現にもつくわけではありません。ご質問のほかにも同じような例があります。一般的なものを○、使われないものを×、疑問のあるものを?とすると次のようになります。

×
寒がる・暑がる (涼しがる・暖かがる)  
苦しがる・痛がる (楽がる)  
きつがる(服など)   (ゆるがる)
     
きたながる(ごみ) (きれいがる)  

「苦しがる」に対して、苦しみが去って楽になった時「楽がる」とは言いません。願望の「たい」がついた「行きたがる」「食べたがる」などは問題なくつくようです。こう考えてみると「がる」は、話し手の強い感情を表す時につくようです。「重たがる」は言いますが、軽いのは負担になりにくいので「軽がる」はふつう言わないのだろうと想像されます。

 しかし、これは限られた現在の身近な用法から割り出した分析であって、論理的なものではありません。言葉は実験室や工場で作られたものではありませんから、類義語・反対語・接頭辞・接尾辞などが整然とした体系を持っているわけではありません。長い間人々に使われているうちに変形したり淘汰されたりするものだと思います。

 「がる」は古く竹取物語に「あはれがる」という例があるそうです。千年もの年月の間にどう使われたか、語彙の歴史を調べたらきっと面白いでしょう。なぜ「軽がる」がないか考えることは直接学習者の日本語能力を伸ばす役には立たないかも知れませんが、言葉に興味を持つという姿勢は貴重なものなので、ぜひ考察や研究を続けられるよう期待します。

 
 

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