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回答 水谷信子(明海大学教授)

 18 「せっかく」の導入

Q
  「せっかく」という文法項目を教えます。そのときの導入の仕方を教えてください。
 
A
 

 「せっかく」という語の使い方は文法とはいえませんが、こうした表現は文の形と密接に関連していますので、文の形として考えてみるといいでしょう。文の形というのはつまり、「せっかく」で始まった文はどんな形で終わるのが普通かということを考えて、自分でいろいろ思いつく文をあげてみるのです。「せっかく」という語の意味を辞書、たとえば明治書院の『精選国語辞典』でみますと、だいたい「折角―骨を折る、力をつくすの意味から―せっかくの苦労が水の泡になる、せっかくですがお引き受けできません」のような説明と例文があがっています。ほかの辞書でもあまり変らないでしょう。

 ただし、実際に日常生活で使われるのは「試験があるのでせっかく勉強しました」というような単なる「努力して」という意味だけでなく、期待が報われなかった場合の
 「せっかくいいお天気になったのに、用事ができて遊びに出られない」
 「せっかくおいでくださったのに、お構いできなくて、申し訳ありません」
のような例が多いと思います。ですから導入する場合には、努力と結果の2つのことを結びつけるようにして与えたらいいでしょう。例えば、
 「一生懸命勉強しました――試験に出ませんでした」
 「一生懸命走りました――間に合いませんでした」
のような状況を与えて「せっかく勉強したのに試験に出ませんでした」という文が自然に出るように導くといいと思います。あるいは一生懸命走っている絵と、電車が出てしまってがっかりしている絵を組み合わせるなど、工夫するといいと思います。

 要はいちばん基本的あるいはよく使われる例を与えて場面をわからせること、そして、使う楽しみを味わってもらうことです。わかったようなら、文の前半を教師が言って、後を続けさせるような練習がいいでしょう。

 
 

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