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回答 水谷信子(明海大学教授)

 25 「学校に来るとき」と「学校に来たとき」はどのように違いますか?

Q
  アスペクトとテンスの問題で、「学校に来るとき~」と「学校に来たとき~」のように、辞書形とタ形の文の意味の違いを簡単に説明するにはどうしたらよいでしょうか。
 
A
 

 「アスペクト」というのは、動作が進行中か終わっているかの問題で、「テンス」というのは、事実を現在として述べるか、過去として述べるかの問題です。タ形は終わったことを示しますが、必ずしも過去の文の中で使われるとは限らず、現在形の文の中でも使われます。ところが日本語の入門期の教科書では、大抵まず「~ます」を教え、次に「~ました」を導入しますので、学習者は「ます」や辞書形は現在のことで、「た」は過去の話なのだと理解してしまう傾向があります。このため、「わかる(わかった)時、知らせます」「国へ帰る(帰った)時、両親に見せます」のような間違いをします。

 「あした会った時話します」というのは未来のことで「話します」は現在形です。しかし「会った時」と「た」を使うのは、「会う」という動作が完了して二人が一緒にいることを示しているからだと言えます。ですから「た」を完了と説明する人もいるし、この「た」は「前に起こったことを示す」のだと説明する人もいます。つまり「あした会った時に話す」というのは「会う」ことが「話す」ことより前だからというわけです。

 学習者に対しては言葉で説明するよりは、適切な文で理解を促すようにしたらどうでしょう。一例をあげます。

 教師「チンさんはあした学校に来る道で吉田さんに話しますね」
 学生「はい」
 教師「チンさんと吉田さんはまだ学校にいませんね」
 学生「はい」
 教師「では、あした学校へ来る時、吉田さんに話します、です」
 学生「わかりました」
 教師「あした学校に来てから吉田さんに話しますね」
 学生「はい」
 教師「チンさんと吉田さんはもう学校にいますね」
 学生「はい」
 教師「では、あした学校へ来た時、吉田さんに話します、です」

のように言ったらどうでしょう。ご自分でも工夫してください。

 
 

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