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回答 水谷信子(明海大学教授)

 30 初級の学習者に教えるには?

Q
  ボランティアで来月からは初級者を教えることになりました。でも初級者に教えるのは初めてで、既習語を使えないので正直どのように工夫をすればいいか悩んでいます。学習者は会話を中心に習いたい希望なので、会話で考えているのですが、アドバイスをいただけましたら嬉しく思います。
 
A
 

初級者だから既習語は使えないので工夫を考えている、という態度はたいへん立派だと思います。会話だからとにかくしゃべる相手をしようというのではなく、きちんと語彙をコントロールしようという、いわばプロ意識に敬意を表したいと思います。
  教師は学習者の知っている語彙と使える文型をきちんと頭に入れておき、その範囲から少しずつ発展させていくように導いていくのが理想です。それには学習者のこれまで使った教科書を読んで、その語彙と文型を把握しておかなければなりません(そのため、教師は毎年同じ教科書を使って教える方が能率がよいので、新しい教科書の採択をためらう、という傾向が生じます)。できれば語彙・文型の一覧表を作って、教室に向かう直前に見ておくようにします。一覧表は自分の使いやすいように工夫します。たとえば

活用しない語
活用する語
助詞
挨拶
特別導入
第1課
図書館、あそこ
行きます/ません

ありがとう
あした
早い

さようなら

のように分類して小さなカードに納めておきます。右端の「特別導入」は教科書になくて、教室で導入した語、たとえば住んでいる場所の地名などを書き込んでおきます。これは一例で、とにかく学習者のデータを教師の頭のコンピューターに入力しておくのです。
  学習者が「読むことができます」という表現しか知らないうちは、「読めますか」とは言わない。可能形を習ったら、もう「ことができます」を使わない、というように学習者の進歩にあわせていきます。ただし、これは一定の教科書を使っている場合です。そうでない場合は筆記なり口頭なりでテストをして、学習者のデータを知るようにします。
  話題は学習者にとって必要のあることを先にする、自分から話しやすいよう興味のあることを選ぶ。また、質問も、用意した表現がわからなかったら言い換える用意もしておくことなど、時間をかけて準備してください。準備にかけた時間は必ず効果を生みます。ご成功を期待します。

 
 

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