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小学校で教えるということ
執筆 土屋 佳雅里(杉並区小学校英語講師、J-SHINEトレーナー)
2019年1月7日 更新
Are you ready?
2020年には新学習指導要領が全面実施となり、日本の外国語教育は大きな節目を迎えます。
その準備として、2018年4月から2年間は移行措置に入り、実質、新体制がスタートします。
今は全国いたるところで新体制に備え、カリキュラムマネジメント、指導計画、人材、評価etc...、
さまざまな課題に取り組み、調整に追われていることと思います。


「小学校という場」にふさわしい外国語教育を!
さて、新体制を目前に、頭上には解決すべき課題があり悩ましいわけですが……、ここでちょっと立ち止まり、まずは、足元を確かめませんか? 指導者が小学校の教室に入る一歩手前で、知って考えておきたいことがあります。

それは、外国語教育が「小学校という場」で行われるということです。小学校外国語教育をスムーズに進めていくためには、小学校という場にふさわしい指導や環境作り、 さらに、指導者がそれらを十分に認識して臨む姿勢が大切になります。

いわば、外国語教育のTPO(Time, Place, Occasion)です。 そこで、「小学校で教える心得×12 Tips」を筆者の経験を踏まえ、時に交えながらお伝えしてまいります。

最新記事【最終回】  2019/1/7 UP!

 小学校で外国語教育を行う意味は? 改めて、考えてみよう!
 -その2:広い世界で他者と関わりあうために

A happy new year!
いよいよ2019年。新しい日本の外国語教育の幕開け、2020年にリーチがかかりましたね。
そして、本連載も、おかげさまで最後の12Tipを迎えることができました。これまでお読みいただき、心から感謝いたします。
最終回は前回に続き、小学校で外国語教育を学ぶ意味について、改めて考えていきます。

イメージ 前回のTipは、「AI(人工知能)と子どもたち」。AIは学校教育に浸透してきており、外国語活動も例外ではありません。
しかし、AIがいかに進化しようとも、人間に追いつけない・追い越せないだろう領域があります。それは人と人との間(=関係)でのこと(`人間‘であるだけに)、つまり、他者との関係の上での言葉です。新学習指導要領では、「他者」は重要なキーワード。外国語活動・外国語の目標いずれにも他者との関わりが含まれ、もちろん、毎回の指導にも反映されます。

さて、小学校は学校教育で、初めて外国語に触れ、外国語でやり取りする体験ができる貴重な時期です。何かに初めて触れ感じるときのインパクトは強いものですよね。そこから、言語への興味・関心を高めるきっかけや、学びへの意欲が育ち始めることが多々あります。そこで大事なことは、コミュニケーションの相手である他者との関わりです。いかに他者と言葉のやり取りをするか、解り合おうとするか、です。



コミュニケーションの始まりは、相手を知ろうとすることから

ここでいう他者とは、5年では教室内の友だちや先生、6年では教室外、広く世界に住む人々を指します。他者との関わりについて、例えば、『We can! 2』「Unit 5 “My summer vacation” 夏休みの思い出」では、外国語を通して夏休みの思い出を伝え合うのですが、たとえ高いスキル(聞く・話す・読む・書くための力)を持って言葉面(づら)では正確に伝え合えたとしても、思い出を伝え合う真意は何なのか、相手と自分は何をもって伝え合っているのかがわからなければ、コミュニケーションは成り立たないのでは? コミュニケーションの手始めは、相手を知ろうとすることです。目の前の他者がどのような存在であるか、どのような背景を持って暮らし、日常や社会を生きているのかなど、多少なりともわかることが欠かせませんよね。

Unit5は、過去の思い出がトピックですから、必然的に動詞の過去形を扱います(ただし、小学校段階では文法は明示的な指導はしない(つまり、教えない)ので要注意)。
「思い出を伝えることができる」ことに重きが置かれ、スキル面の指導に偏りがちです。指導ではスキルの育成ももちろん重要です。なぜなら、相手に正確に自分の意図を伝える術が必要だからです。しかし、スキル面の指導にばかり集中してしまうと、言えた・聞けたレベルで子どもたちは満足してしまい、その根底にある、「思い出を伝え合う」思いがおざなりになりがちです。ですから、授業では、スキル面と「思い出を伝え合う」真意をくむ面の両方をバランスよく、意識し続けながら指導する姿勢が大切です。

イメージ 担当校でUnit5を指導した際、6年に相応しく教室外の他者を深く理解しようと、世界に住む同年代の子どもの夏休みについて考える時間を設けました。夏休みについて考えるには、まず、学校生活、そもそもの暮らしぶり、どんな風に生きているんだろう……? ここまで考えて、はじめて他者の夏休みを考えることができます。そこで、「カカオ農園で働く学校に行けない兄弟」と「シリアで逃避生活を続けながらかろうじて学校に通えている少女」の動画を観ながら、グループごと共同で学び、考える時間としました。児童それぞれにさまざまな気づきがあり、自分と違う世界に生きる他者へ思いを寄せ、馳せた大事な時間となりました。

小学校は中高に比べて、その両方をバランスよく指導できる時間的・カリキュラム的な余裕があります。一連の外国語教育の流れの中で、柔軟で感受性が高く、初めての体験で強いインパクトを持ちやすい小学校段階のうちに、やっておきたいことが多々あります。他者のことをより深く考え、理解を深めようとすることもその一つ。小学校外国語教育では、ぜひ大切にしていきたい時間です。



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●著者プロフィール


土屋 佳雅里(Kagari Tsuchiya)
杉並区小学校英語講師、J-SHINEトレーナー、上智大学短期大学部(非)、早稲田大学(非)。指導者養成、各種教員研修にも携わる。小学校、大学、指導者養成といった幅広い指導を通して、よりよい日本の外国語教育を目指し、実践・研究に奮闘中。著書に『小学校はじめてセット』(執筆協力、アルク)、『教室英語ハンドブック』(共著、研究社)など 。


書籍紹介

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編:アルクキッズ英語編集部 価格:26,784円(税込)


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