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小学校で教えるということ
執筆 土屋 佳雅里(杉並区小学校英語講師、J-SHINEトレーナー)
2018年8月8日 更新
Are you ready?
2020年には新学習指導要領が全面実施となり、日本の外国語教育は大きな節目を迎えます。
その準備として、2018年4月から2年間は移行措置に入り、実質、新体制がスタートします。
今は全国いたるところで新体制に備え、カリキュラムマネジメント、指導計画、人材、評価etc...、
さまざまな課題に取り組み、調整に追われていることと思います。


「小学校という場」にふさわしい外国語教育を!
さて、新体制を目前に、頭上には解決すべき課題があり悩ましいわけですが……、ここでちょっと立ち止まり、まずは、足元を確かめませんか? 指導者が小学校の教室に入る一歩手前で、知って考えておきたいことがあります。

それは、外国語教育が「小学校という場」で行われるということです。小学校外国語教育をスムーズに進めていくためには、小学校という場にふさわしい指導や環境作り、 さらに、指導者がそれらを十分に認識して臨む姿勢が大切になります。

いわば、外国語教育のTPO(Time, Place, Occasion)です。 そこで、「小学校で教える心得×12 Tips」を筆者の経験を踏まえ、時に交えながらお伝えしてまいります。

最新記事  2018/8/8 UP!

 40人学級にふさわしい指導を! 教室環境は子どもたちの学習に影響する?

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日本が熱い!・・・もとい。暑い!

この8月、子どもたちは夏休みでホッと(hot)している最中でしょう。
暑さは子どもたちの学習にも大きく影響するようです。教室環境の学習への影響を調査した研究で、中学生対象の調査(鵜飼他、2012)になりますが、生徒が考える「授業理解の妨げの要因」と教員の「教授意欲の妨げの要因」は、いずれも 〈1位「温熱環境」 2位「モチベーション」 3位「音環境」〉 という評価でした。
何と、「温熱環境」、つまり気温や湿度は「モチベーション」より影響力が強いようですね。当然、小学校英語にとっても、侮れません、この暑さ。

さて、教室環境では、「学級規模」(1学級あたりの収容人数)も子どもたちの学習に大きく影響しますね。 かつて40人学級が当たり前だった時代から、今や30人・35人学級へと変化しています。不登校などの課題に対応するため、文科省は毎年、加配定数の増員を要求。現行の義務教育標準法では、小1は35人、小2-中3は40人が学級の標準人数と定められています(小2は予算措置で35人)。

自治体によっては30人学級がありますから、20人台から40人と、学校によって規模が異なるわけです。これだけ人数に幅があれば、目の行き届きやすさや学習効率から、子ども(もちろん教員も)の心身的な余裕まで、必然的に学習の質が違ってくることも想像できそうですね。

ここで、学習の質が違ってきた例を。私の担当する学校の自治体では、およそ9年前から30人程度学級の実施を独自でスタートしています。40人から20人台に減った際、切り替え年の前後を経験していますが、外国語(英語)活動での違いは明らかでした。

具体的な違いは、例えば、「活動に集中しやすくなった」「おしゃべりが減った」「一人当たりの発話回数が増えた」「教室が広く使えるため活動の選択肢が増えた」「机間指導がしやすくなった」、等々。気持ちの余裕も生まれたからか、担任の先生方の表情が、以前に比べて顕著に明るくなりました。先生本人も、「もう、全然違いますよ!」と豪語されていましたね。

当然、JTE(Japanese Teacher of English)の私も、以前より子どもたち個々の様子や変化をよく見ることができ、学級全体の動きも把握しやすくなりましたし、良いことづくめでした。これは、子どもたちにももちろん、言えたことです。


それぞれの子どもの目には、ただ1人の教師の顔が大きく映っている

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さて、具体的に指導を考えていく上でも、学級規模の違いは検討すべき材料です。より考慮したいのは大規模クラスでして、では実際、指導ではどのような点に気をつけるべきでしょうか? ポイントを2つに絞ります。

1つは、活動形態の工夫です。特に学習初期ですが、個人よりもペア、グループ、全員参加型がいいでしょう。大人数になるほど、緊張度が増すものですからね。`みんなでやれば恐くない‘、です。未知の言葉に対する個人での応答や活動は、かなりの勇気と、時に恐怖を伴いますから。子どもによっては、ちょっとした失敗でも、英語嫌いになってしまうどころか一生のトラウマになる可能性があります。

もう1つは、分りやすいところで、例えば、教材や教具。当たり前ですが、見やすく理解しやすいものがいいですね。40人ぎゅうぎゅうの教室では、教壇にいる教師と、後方に座る子どもたちとの間は結構な距離(感)がありますから。絵本ならBig Bookを用い、絵カードなら最小でもB5版を準備し、イラストや文字のフォントも大きくします(できれば80-100point)。何が提示されているのか分からなければ、後方の子どもたちは蚊帳の外です。 

最後に、大事なことを。
40人近い大規模だろうと、20人以下の小規模だろうと、1人ひとりを大切に見る姿勢は何も変わりません。 教師の目には、大勢の40人の子どもたちの顔が一斉に映っていますが、それぞれの子どもの目には、ただ1人の教師の顔が大きく映っています。チラッとでもいいんです、たとえ大規模クラスだとしても、できるだけ1人ひとりと目を合わせて、「あなたを見ているよ!」という想いを伝えるようにしてください。すると、子どもたちの学びに対する姿勢も、よりいい方向に変わってくることと思います。


参考:
鵜飼翔太、須藤美音、水谷章夫(2012) 「310 中学校の教室における温熱環境が学習効率・教授意欲に及ぼす影響(3.環境工学)」、『東海支部研究報告集 (50)』 pp.393-396


★次号(9月上旬更新予定)は、「Tip8 ICTを小学校の場で活かす!」です。

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●著者プロフィール


土屋 佳雅里(Kagari Tsuchiya)
杉並区小学校英語講師、J-SHINEトレーナー、上智大学短期大学部(非)、早稲田大学(非)。指導者養成、各種教員研修にも携わる。小学校、大学、指導者養成といった幅広い指導を通して、よりよい日本の外国語教育を目指し、実践・研究に奮闘中。著書に『小学校はじめてセット』(執筆協力、アルク)、『教室英語ハンドブック』(共著、研究社)など 。


書籍紹介

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