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英語を英語のまま理解できるリスニング力と英語の総合力をアップできる大人気通信講座「1000時間ヒアリングマラソン(HM)」。同講座の歴代コーチにご自身の英語習得法を伺いました。英語をマスターしたコーチ陣が語る英語習得までの道のりはどのようなものだったのでしょうか?
※記事の内容は取材当時(2012年)のものです。
青山学院大学大学院国際政治経済研究科修了。現在、獨協大学、立教大学、東洋大学で講師を務める。NPO法人グローバル・ヒューマン・イノベーション協会理事。専門は、社会言語学、国際コミュニケーション。著書に『日本人は英語のここが聞き取れない』(アルク)など。「1000時間ヒアリングマラソン」の主任コーチとして活躍するかたわら、英語およびグローバル人材育成コンサルティングにも携わる。趣味はテニス、落語、ジャズ。
ヒアリングマラソン(HM)の主任コーチを務める松岡昇先生にも実はリスニングにまつわる苦い思い出がある。それは大学1年生の時、相手は大学でイギリス文学史を教えていたイギリス人の教授だった。ネイティブスピーカーの教授に英語で話しかけてみよう! と思い立ち、英語の質問をノートに書いて暗記した松岡先生。無事に質問できたのはいいけれど、その教授から返ってきた答えがまったく聞き取れなかったのだ。
「相手はこちらが分からないので何度も別の言い方で言い直してくれたのですが、それも全然聞き取れない。これはダメだと思い、どうしたと思います? 逃げました」。
それが松岡先生にとって人生初のナマ・リスニングだ。「しゃべるだけではダメなんだな。相手の言うことをきちんと聞き取る力がないと、話す勇気もなくなるんだ」とリスニングの重要性を思い知った。
その後、社会人になった松岡先生は当時創刊間もない『ENGLISH JOURNAL(EJ)』との出合いをきっかけに、本格的にリスニングに取り組むことになる。
「週に20時間ずつ1冊に2カ月ぐらいかけて聞き込んでいました。当時はカセットテープだったので、テープがすり切れるぐらい何度も聞いて、ディクテーションをしていましたね」。週に20時間というと、1年で約1000時間。松岡先生は当時から、後にHMが提唱することになる学習法を知らず知らずのうちに取り入れていたというわけだ。
そしてそんなふうに『EJ』を使って試行錯誤しながら生まれたのが、聞く→読む→話す→書く、とリスニングから始めて4技能すべてをカバーする「松岡式14ステップ英語独習法」。
「HMがスタートしたのは今から30年前ですが、当時HMの評判はよく耳にしていました。一度トライしてみたいと思っていたけれど、タイトルにある1000時間という長さを意識してしまうと、それに圧倒されてなかなか踏み出せなかった。先ほどもお話ししたように、実際は年間1000時間程度リスニング練習をしていた時期もあるんですがね」。
やがて松岡先生は、学習者としてではなく、執筆者やコーチとしてHMに関わるようになる。HMを「リスニングだけの学習ではない。リスニングからスタートするだけであって、4つのスキルすべてを総合的に身に付ける総合的な学習法である」とし、HMで英語力を確実にアップさせるためには「学習の高原現象」を乗り切ることがポイントだと指摘する。学習の高原現象とは、右肩上がりに伸びてきた学習曲線がある時点で高原のようにフラットになる現象で、程度や時期の差はあるが、どんな学習者にも必ず起こるものだという。
長い人なら1年間も続くというこの停滞期をどう乗り切ればブレイクスルーが訪れるのだろうか。
「HMの『マンスリーテキスト』で連載している『マッツの英語学習Q&A』に受講生から寄せられたブレイクスルー体験によると、ブレークスルーは必ず来る。それまでの期間は、できるだけ簡単なものを選んでシャドーイングやディクテーションを続けて、とにかくネガティブにならないように気を付けたそうです」。
松岡先生がすすめるのは「一度やり終えたテキストをもう一度学習すること」、「リスニングでは多聴だけでなく必ず精聴もすること」だ。
「多聴だけではブレイクスルーが訪れずに挫折してしまいがちです。多聴は英語に慣れるためのもの、精聴はレベルアップのためのものだから」。
また、語彙や慣用表現なども合わせて勉強することも忘れてはいけないという。
「HMをやりながら単語を増やそうと思うなら、素材の文脈をそぎ落とさないこと。単語だけピックアップして単語帳に書いたりすると、せっかくの文脈がなくなってしまいます。テキストの文章の当該語句(左ページ)とその和訳(右ページ)に丸印を付けるだけでいいんです。
テキストそのものを自分のオリジナル単語帳にしてしまって、文脈ごと覚えるようにします。手間がかからず、覚えやすく、忘れにくく、忘れても思い出せる単語帳になりますよ」。
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