テンプル大学ジャパンキャンパス 生涯教育プログラム

講師からのメッセージ

日本美術の奥深い魅力を
英語で表現する力を養いましょう

浮世絵、陶磁器、民芸品から現代美術までを網羅

春原陽子先生

私が担当する『日本美術を楽しむ』は、江戸時代から現代に至る日本美術を英語で習得するコースです。全8回の講義のうち、大学で行うセッションは2回、残りの6回は美術館や資料館、古美術店などの現場で学ぶことになります。それは、実物を見て可能なら手に触れることで作品を身近に感じることが「美」を理解し、楽しむために不可欠な要素だと考えているからです。

例えば、江戸時代に庶民の娯楽作品として広まった浮世絵を手にすれば、その紙の薄さ、軽さに驚かれるかもしれません。また、掛け軸の掛け方や仕舞い方、保管方法までを実際に体験することで、対象との距離は自ずと近くなるでしょう。その上で、作品や作者の解説、時代背景などを聞くことにより、単なる教養ではない多層的な知識が身につくのです。

英語レベルの垣根を超えたコミュニケーションが可能

講義はすべて英語で行いますが、中には“自分の英語力で大丈夫だろうか”と不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。その心配は不要です。実際に初級レベルを脱したばかりという方が、外国人の受講生たちと絵画や陶磁器などをテーマに和気あいあいとおしゃべりする光景は当たり前になっています。それを可能にするのは “美術” という対象があるからです。

この講座をきっかけに「外国の方にも自信を持って指導できるようになりました」という茶道の先生もいました。もちろん、専門用語の中には一般的ではないものもあるため、hanging scroll(掛け軸)、folding screen(屏風)、mounting(表装)といった用語はあらかじめ伝えるようにしていますが、大切なのは楽しむ気持ちです。それがあれば英語の表現も自然に身体にしみ込んでいきます。

日本の美術を正しく理解し
英語で伝える知識とスキルを養う

春原陽子先生

時代の流れに沿って人々の生活の様子や社会背景を含めて日本美術を解説していくことが私のこだわりです。そうすることで作品に対する理解が一層深まり、作品が持つ「物語」にも目を向けるきっかけになると思うからです。浮世絵に描かれた町並みで人々がどんな生活をしていたのか、刀剣の鍔(つば)に施された装飾の意味は何か、民芸家具のルーツはどこかなど、想像の翼はどこまでも飛んでいきます。

受講生の半数は外国人で、職業もビジネスパーソン、大使館員、美術館ガイドから主婦まで多種多様です。そういう方たちがお互い意見や感想をやり取りしていると、美術品を見る視点の違いが如実に表れ、そこから一人ひとりの新たな解釈が広がっていくことも多いようです。日本人が自国の伝統的な文化や美術を正しく理解し、その特徴や魅力を外国人の方に伝えたいという目的を持って学ぶことはとても有意義なことです。

この講座では、英語と美術を同時に、しかももっと気軽に学べるようにしたいと思っています。そのシンプルさは今後も大切にしていこうと考えています。

春原陽子先生

春原陽子先生

Profile/

1997年以降、日本や韓国、中国などアジアの美術を専門とするコラムを「ジャパンタイムズ」紙に数多く寄稿。「在日アメリカ大使公邸の美術品 」(米国国務省出版)の執筆も手がけ、美術コラムニストとして幅広く活躍している。上智大学外国語学部比較文化学科卒業、同大学院修士課程修了。