HOME > 日本語・日本語教師 > 日本語の教科書「できる日本語」がよくわかる! > Interview Vol. 6 IGL医療福祉専門学校 日本語学科 細井戸忠延さん、德田淳子さん

「できる日本語」がよくわかる!

インタビュー 教科書採用現場に聞く!

使用している教科書を変更する――それは、学校にとっても教師にとっても一大事です。変更という決断までにどんなことを考え、実行したのでしょうか。また、実際に使い始めてから、学校や教師に何が起きたのでしょうか。「できる日本語」シリーズを使い始めた採用現場の先生方に、その舞台裏を伺うこのコーナーですが、今回は日本語学習ではなく、日本語教員養成のために使い始めたケースをご紹介します。

NEWInterview Vol. 6 IGL医療福祉専門学校

15/10/9 UP

教科書の変更は焦らず時間をかけて。まずは雰囲気作りから

"教科書の変更は焦らず時間をかけて。まずは雰囲気作りから"

広島のIGL医療福祉専門学校 日本語学科、学科長である細井戸 忠延さんは、「タスク先行型」である「できる日本語」シリーズをメインテキストにとの思いを胸に、新しい教科書をスムーズに導入できるよう作戦を立てました。そこでまず加わったのが德田淳子さんでした。教科書の採用までと採用してからのお話をお二人に伺いました。

「できる日本語」シリーズを全クラスで採用するまでの経緯を教えていただけますか。

細井戸:

もともと、「文型を教えること」が目的となっている教科書を使っていましたが、「タスク先行型」授業のことを知り、自分なりにそれに関する本を読むなどして関心を深めていました。それで学科長としても、文型を教えるときは「どんなときに使うか」というアプローチが必要だということを先生方にお伝えすることが多かったのです。そんなときに「できる日本語」シリーズに出合い、これは日頃考えていた「タスク先行型」を教科書に落とし込んだものだ、と。

ただ、教科書の変更には相当のエネルギーがいるのはわかっていました。それで2年ぐらいかけて少しずつ「できる日本語」のファンを増やして、教科書を変えてもいい、という雰囲気を作るという作戦で動きました。まずは一部のクラスでメインテキストを「できる日本語」に。それから、「初中級」と「中級」の溝を埋めるのに悩んでいる先生がいたら橋渡し的に少し『できる日本語 初中級 本冊』を使ってもらったり。そんなふうにして、学内に「できる日本語」を使ったことがある先生を増やしていくうち、「この教科書、結構面白いね」という反応が増えてきました。そんな雰囲気作りができてきた中、満を持してという感じで2014年1月に監修者である嶋田先生の研修会があり、2014年春から教科書を全クラスで変更。イメージした通りの流れで切り替えられたと思います。

德田さんはその「『できる日本語』を使った一部のクラス」を任されたわけですが、「できる日本語」を使い始めてみてどうでしたか。

德田:

言われた通りにやってみようとは思っていましたが、手に取ったこともない教科書で、指導書もないので戸惑いました。でも指導書があるとそれに引っ張られるわけで、そのクラス、状況に合った授業を提供するためにはなくてよいのだ、とやっていくうち考えが変わりました。今は指導書がないのがこのシリーズの好きな点でもあります。

また、当初は特に本文に文法事項の練習問題が少ないのが不安で。いつも、本当に学習者がわかっているかというチェックを練習問題でしていたのに、チェックのしようがない。学習者からも「もう問題はないの?」という声があり、最初は必ず文法のプリントを作っていたんです。でもテストで文型を使って答えられているという実績が重なったり、学習者からも「問題、別にいらないんじゃないか」という声が出てきたりして練習問題をしないことに段々不安がなくなっていきました。

例えば自己紹介の項目をやるときは、本当に学習者をポンと前に出して「自己紹介して」というふうにしていたんです。そうするとそこで何を言ったらいいのかということを学習者は強く意識します。教科書に「文型」があるから覚えるのではなく、自己紹介するために「文型」があり教科書があるんだよ、という進め方を繰り返していたので、練習問題がたくさんなくても文型が使えるようになっていったのだと思います。

まだ周りの先生は他の教科書も並行して使っている状況だったかと思いますが、どのようにして連携を取っていましたか。

德田:

課末の「できる!」の活動が到着点ですから、そこで何をするのか、ということをしっかり共有していました。そこがないと、それぞれでぶれてしまいますから。例えば「発表」を「できる!」に持ってくるなら添削はいつまでにするか、そのためのアナウンスはいつするか、など発表の下準備がしっかりできるように打合せを行っていました。

そんな中で、この教科書は扱いづらいというような方もいましたか。

細井戸:

もともといた先生方はニュートラルに受け止めてくれる方が多かったです。でも、全 クラスで教科書を変えたあとに未経験で採用した先生の中には、これまでに使ったこ とがないということもあって「文型を教える」というスタイルから脱することに戸惑 う先生もいらっしゃいました。スタイルを変えるという認識があっても、つい文型の 説明をやってしまう。何カ月かに1回行う授業見学のフィードバックや、その授業見 学のためにクラスの様子を聞く中で、どうすればいいかを一緒に考えています。

「できる日本語」を使い始めて学習者や校内の様子はどう変わりましたか。

細井戸:

「できる日本語」を使ってから教室に日本人を呼んだり、外に出て活動したりする機会が格段に増えました。德田先生は全く根回しなく、科学館に行く予約を学習者に「ガチで」させていてびっくりしたのですが、外に出したり、日本人と話したりする準備のために教室で授業するわけです。そのような活動の成果物を貼りだしているので校内は大変にぎやかになりました。貼るところがなくなって、新しい成果物ができるとどれをはがすか迷うぐらいです。

德田:

「やはり活動が非常に多いので、学習者はよく発言するようになりましたね。自ら進んでアウトプットすることに抵抗がなくなってきたと思います。日本人と話すことにも抵抗がない学習者が増えて、併設している専門学校の日本人学生との交流も盛んになりました。

これから「できる日本語」を採用しようと思っている先生方へメッセージをお願いします。

細井戸:

教科書を変えたいと思ってから変えるまで、ものすごいエネルギーが必要です。自分一人でやろうと思っても簡単には動きません。教科書分析もみんなでやって、面白い本だ、という認識を持ってもらい、少しずつ味方を作ることができれば。計画を立てて、味方を作り、空気を変えていければ教科書を変えることは可能です。

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