HOME > 日本語・日本語教師 > 日本語教育能力検定試験 解答速報 > 日本語教育能力検定試験 今年の検定試験レビュー

プロが斬る!今年の検定試験レビュー

編集:アルク日本語編集チーム

今年の受験を振り返る人も、来年の受験に備える人も、必読です。
それぞれのこんなに詳しいレビューはここだけでしか読めません!

※解答速報、及びレビューの内容に関するお問い合わせは受け付けておりませんので、予めご了承ください。

11/04 UP

ひねりが少なく、オーソドックスな問題が多い

全体としては、非常に例年通りで、どちらかというとひねりの少ない、易しめの出題だったのではないかと思います。しかしこの検定試験が「読解力を測っているのでは?」と言われるゆえんでもある「選択肢が絞りきれない問題」については、解答速報作成の際もかなり紛糾しました。

以下、今回の試験Iの中で、今後を見据えて注目すべきポイントについて、少し触れていきましょう。

新しい視点を求める問題

問題3-Dの「『正しい』日本語」という話題は、「正しい」と括弧書きになっていることからもわかるように、いわゆる「正しい日本語」に新しい視点を与える内容の出題で、基礎分野の中では、時事的とも言える問題でした。コーパスの利用などは今後も注目のポイントだと言えるかと思います。

これまでの試験で出題されたことのないカタカナ語

「コーピング」という言葉は、今までの試験では出題されたことがありませんでした。こういった問題は、どの受験生も条件は変わらないと思います。「知っていればラッキー」程度に捉えましょう。ただ、これを機に、こういった話題が注目されているのだと知ることは有益であると言えます。

日本語教育史の再登場

ここ数年、あまり大問として目にしなかった日本語教育史についての設問がまた出題されており、今回の問題14では台湾の日本語教育史が取り上げられました。正直なところ、「かなり調べていないと答えられない」という問題もありましたが、日本語教師として知っておくべき基礎的な分野ですから、しっかりと押さえておきましょう。

年少者への日本語教育

昨年は試験IIIに登場した「日本語指導が必要な児童生徒」、つまり、年少者の日本語教育の話題が今年は試験Iに登場しました。これは長く重要な話題であり、日本語教育界全体が注目し、取り組むべき話題です。また、ここ数年、大きな変化が起こっていることもあり、日本語教育に携わろうという人は、ぜひ知っておくべき話題だと言えます。

以上のように、今年の問題も、非常にオーソドックスな検定試験らしい検定試験だったと思います。

11/11 UP

例年と比べても、大きな変更点なし

試験IIは基本的に設問ごとの出題形式が決まっていますが、今年も例年と大きな変更点はありませんでした。以下、大問ごとに、振り返ってみましょう。

問題1

アクセントの聞き取りなどでは、過去にあったような学習者の発話が早口で聞き取りづらいと言うこともなく、聞き取るべき拍にも撥音や長音など判定が難しい拍は少ない印象です。基本的に聞き取りやすい素直な出題であったといえるでしょう。

問題2

以前の出題形式では、最初の日本人の問いがコンテクストとなり、その少ない情報からプロミネンスやイントネーションの正しい発話の決定をするので解答が難しかったです。が、今年度のようなの本人の正しい言い直しが読まれる形式の出題では、基準となる発音は分かりやすくなっているので、複数の問題点があっても解答しやすくなっています。しかし、結果的に正解を出すには正しく言い直した日本人の発話との違いを指摘することになり、最初の日本人の問の意味が薄れている印象を受けました。

問題3

一昨年以前のような「学習者の典型的な誤りを中心とした出題」は昨年から変更になり、誤りというより「広い観点からの発音の問題点の指摘」になっています。さらに、今まで発音の問題点は基本的に仮名に含まれる子音か母音のどちらかの違いであったのに対し、今年度初めて「子音と母音の双方が異なる問題」が出題がされました。

問題4

発話の特徴や問題点など、問われているのは、以前から多く出題されている基本的な選択肢であり、解答しやすい問題でした。ただ、問題5も含めて「当てはまらない・適当ではない」と言う否定的な選択肢が多くあったので、その分答えにくくなっていました。

問題5

聴解試験の問題として解答する限りでは、特に困難な問題はありませんでしたが、これを実際に聴解教材として考えた場合、どんなレベルのどんな相手を対象に作成された問題なのかが想定しにくいような内容と思われるものがあり、指摘すべき絵の問題点は聴解内容とは無関係に絵を見ただけで指摘できるのではという印象をうけました。

問題6

今回は音声に関する誤りの指摘はなく、もし文字で書かれていれば、さほど悩まずに答えられたであろうレベルの出題でした。ゆっくり考える時間はありませんが、実際の日本語教育現場でもその場で学習者の間違いを明確に認識する必要があるので、その訓練ともいえる問題でしょう。

全問題を通して、今年は「落ち着いてしっかり聞いていれば、そこまで混乱せずに済む問題」が多かった印象です。少ない時間で設問を読み解くこと、またそこにでてくる専門用語の知識などが、得点の分かれ目になるかもしれません。

11/18 UP

全体的に「素直な問題」

試験IIIでは、教育現場での問題解決のために、知識の応用力が問われています。そのためには学習者の視点を含め、現場で起こりうるさまざまな状況への対応について複眼的に考えることが求められます。

試験IIIは領域横断型のため、二つ以上の用語が一つの問題の中に出てきていることも少なくありません。たとえば、III―4は日本語史にかかわる問題ですが、音声面(ハ行音)と文字面(仮名遣い)がともに出ていました。III―12ではバイリンガルとコード・スイッチングが一つの文章で登場します。バイリンガルは年少者の言語習得で、コード・スイッチングは社会言語学のなかで学んでいる方が多いと思います。ただし、今年度の試験問題でも、知識としては標準的な知識が問われていたという印象があります。各領域・分野で学び、理解していることを慌てずに思い出せば、十分対応できる素直な問題だったと思います。

一方で、試験範囲の用語を頭に入れただけでは解きにくい問題もあったかと思います。III―5、III―6、III―7、III―8といった問題では、ある教室活動を行う際にかかわってくる知識が色々と混ざっています。たとえば、III―8では、取り上げられた活動の名前が答えられるだけでなく、その活動がどういった意味を持つのか、どう進めればよいか、その際に教師が気をつけるべきところなど、総合的に知っておくことが求められていました。これには、試験IIIでは一つの用語の知識だけではなく、総合的な知識を問う問題が出題されていることと関係しています。

対策としては、背景となる理屈や仕組みをよく理解しておき、他の用語との関連性を意識しながらまとめておくことが重要です。先の例でいえば、「助詞のハは、/wa/と発音するのに「は」と書くのはなぜか」という問いに答えるために、ハ行音の変遷と仮名遣いの告示の両方がかかわっていることを理解しておく必要があります。一方、教室活動においても、学習者の内的側面、学習者同士の協働、教師のかかわり方、活動への取り組み方と評価、活動のゴール、と、様々な視点から考え、学習者に最もあったタスクを選ぶ必要があるということにもつながります。また、ディクトグロスやルーブリックといった教育にかかわる用語を中心に、特にカタカナ語が増えている印象がありますので、用語の定義を的確に理解しておく必要があります。加えて、法令等にかかわる時事知識、訪日外国人の数なども必ず問われるところですので、ニュース等を含め日本語教育及び関連業界の最新の情報を得ることを心がけておきましょう。


解答速報トップはこちら

 


  • アルコムワールドで日記を書く

メルマガ登録

JSST

アルクオンライン日本語スクール

アルク日本語教育公式Facebookページ