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回答 水谷信子(明海大学教授)

 23 「言う」と「話す」はどのように違いますか?

Q
  「言う」と「話す」はどのように違いますか?
 
A
 

 このようなよく似た言葉の場合、共通して使えるのはどんな場合か、どちらのほうが広く使われるか、一方が使えない場合があるかということを整理してみることが大切です。はじめに辞書を見て考えてみましょう。明治書院の『精選国語辞典』の「言う」の項を見ると、(1)思っていることを言葉に表す、(2)表現する、(3)呼ぶ。名付ける、(4)音を立てる、が主なものです。一方「話す」のほうは、(1)ことばで意思を伝える、(2)外国語を使うことができる、(3)相談する、となっています。

 「言う」(1)と(2)は「話す」の(1)とよく似ています。つまり、言葉で表すという機能は共通です。ですから「会議に出席すると彼は言った」のような場合、「言う」でも「話す」でもどちらでもいいわけです。次に、一方が使えない場合というのがあるかどうか、考えてみましょう。「言う」の(3)呼ぶ。名付ける、は「話す」ではまずいでしょう。「あれは富士という山です」とは言いますが、「話す山」とは言いません。「言う」の(4)の「音を立てる」は「窓ががたがたいっている」のような場合で、これも「話す」は使えません。逆に「話す」のほうはどうでしょう。(2)外国語を使うことができる、は「言う」ではいけませんね。(3)相談する、のほうは、「川上さんに言っておく」も「川上さんに話しておく」もどちらも使えますが、ちょっと場面が違うような気がします。「話しておく」のほうがまとまった相談をするという意味合いが強いようです(ただ、最近新聞記事などでは簡単なことでも以前は「犯人は黒い服を着ていたと言った」のように「言った」が多かったのが、最近では「話した」を使う傾向が出てきたようです)。

 以上を簡単にまとめると、「言う」が使える場合と「話す」が使える場合は共通する場合もありますが、異なる場合もあって、どちらのほうが用法が広いとは一概に言えないということになります。ただ、学習者に対しては、こうした細かい違いを列挙するより、最も一般的な語句で導入するのがいいでしょう。「思ったことを言ってください」「母は英語を話します」「何という山ですか」「窓が風でがたがたいっている」「川上さんに話していちばんいい方法を決めましょう」などの用例を見れば、学習者は用法がつかめるのではないでしょうか。

 
 

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