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回答 水谷信子(明海大学教授)

 29 「福山に行きます」と「福山へ行きます」の「に」と「へ」の違いは?

Q
  「福山に行きます」と「福山へ行きます」の「に」と「へ」の違いを教えてください。
 
A
 

日常生活では「福山に行きます」と「福山へ行きます」は、どちらも使っていて、とくに違いが意識されない場合が多いと思います。国語辞典では、通常、「に」には(ほかにいろいろな用法がありますが)「場所・方角を示す」という用法があげられ、「へ」は「動作の方向・帰着点・向けられる対象」を表すと説明してあります。これで見ると方向や帰着点を示す用法は「に」と「へ」のどちらにもあることになり、やっかいです。

 基本的な用法としては一般に、「へ」は動作の方向を表し、「に」は到着点を表すと教えているようです。日本語の教科書などは「方向」と「目的地点」の区別を守って助詞を使っていることが多いと思われます。こうした違いはあるものの、行き先を示す時は両方使う、ということになります。国際交流基金の『基礎日本語学習辞典』では「に」の用法として「移動の方向や到達するところを表す」としたあとに、「移動の方向を特に意識して言う場合には「へ」を使うこともある」と注記しています。

 印象としては、若い人は「東京に行く」「うちに帰る」のように「に」を使うことが多く、年配者は「東京へ行く」「うちへ帰る」が多いように感じます。「田中さんに渡す」「田中さんへ渡す」は両方使いますが、若い人には「に」がより多く使われるように思いますが、数量的に調査したわけではありません。

  なお、表現が高度になった場合に違いがあるようです。「へ」のばあいは「駅へ行く途中」という意味での「駅への道」という言い方がありますが、「に」の場合は「駅にの道」とは言わないようです。これは駅に行くという移動の方向にある道をさすので、「に」より「へ」のほうが適切だからという意識が働くのかもしれません。
 
 

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