HOME > 日本語・日本語教師 > 日本語Q&A > ことばの仕組み(文法) > なぜうそをついている人に「うそをつくな」ではなく「うそつけ」と言う?

ことばの仕組み(文法)

分類:その他(その他)

なぜうそをついている人に「うそをつくな」ではなく「うそつけ」と言う?
 ご指摘のとおり、嘘をついている人を非難する場合に、「嘘をつくな」ではなく「嘘をつけ」と言うことができます。これは一見奇妙なことのように思われますが、「嘘をつけ」という命令文が命令文として機能するための規則を逆手にとって利用したものであり、そこにもまたある種の規則性が見いだせます。

 文には、文字どおりの意味と、発話の場面等に支えられて理解される文の機能ともいえる意味とがあります。先の「嘘をつけ」という文では、文字どおりの意味は「私はあなたに嘘をつくことを命ずる」というものですが、特定の場面では「私はあなたが嘘をついていることを非難する」というような意味をもちます。

 「嘘をつけ」という文が文字どおりの意味を表すのは、「嘘をつく」という行為がまだ実現されていないという条件下においてのみです。一方、「嘘をつけ」という文が聞き手への非難として解釈されるのは、「嘘をつく」という行為がすでに実現されている場合に限られます。したがって、この場合「嘘をつけ」という命令文は命令文として機能しない場面で発話されていることになります。命令文として機能しない命令文が敢えて発話されるのですから、そこには別の機能がなければ発話は無意味なものとなってしまいます。それがこの場合には、相手への非難となっているのです。



ことばの仕組み(文法) トップへ



日本語Q&A トップへ






JSST

日本語会話力テスト

メルマガ登録

アルク日本語教育公式Facebookページ