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ことばの仕組み(文法)

分類:助詞(で)

「(私が寝たあと)で」と「(寝たあと)に」の違いは?
 まず、格助詞「で」と「に」の意味について考えてみましょう。

 行為の行われる場所を表すのが「で」の典型的な意味です。「太郎が道で転んだ」という文では、「太郎が転ぶ」という行為が行われた場所が「道」であったということが表されています。一方、「に」は存在を表す動詞とともに用いられると、「机の上に眼鏡があります」や「庭に犬がいます」のように、存在の場所を表します。

 ところで「で」に関して、「で」は「他の場所ではなくここで」といった選択された場所を表すとの指摘があります。「金魚が水槽で泳いでいる」という文には座りの悪さが感じられます。これを主語を「子供」に変えて、他に「泳ぐ」場所が想定できるようにすると、「子供がプールで泳いでいる」「子供が海で泳いでいる」のように、「で」の出現がごく自然なものとして許容されるというのです。

 質問の例は、「に」と「で」が空間表現から時間表現に適用されたもので、「で」は出来事の起こった時を表すことによって、「に」は出来事の存在する時点を表すことによって、結果的にいずれも二つの出来事の時間的な順序を表しています。したがって、質問の例では二つの語句の表す意味に大きな違いは感じられません。しかし、「に」を用いた「主人は私が寝たあとに帰ってきました」という文を「私が寝たあとに主人が帰ってきました」としても自然な文として許容できるのに対して、「で」を用いた「主人は私が寝たあとで帰ってきました」という文を「私が寝たあとで主人が帰ってきました」とすると、やや許容度が落ちるように感じられます。

 また、「で」を用いた文からは、敢えて「私が寝たあと」を選んで帰ってきたというニュアンスが感じられます。これは、「で」は選択された場所を表すとの指摘と並行的に捉えられる現象であろうと考えられます。

 なお、「あとで」「あとに」が単独で用いられた場合には、「あとで行きます」が可能であるのに対して、「あとに行きます」を許容することはできません。「あとに」は二つの出来事の前後関係を表すだけであるのに対して、「あとで」の方は発話時とそれ以降の時点との関係を捉えることが可能です。



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