「できる日本語」がよくわかる!

インタビュー 教科書採用現場に聞く!

使用している教科書を変更する――それは、学校にとっても教師にとっても一大事です。変更という決断までにどんなことを考え、実行したのでしょうか。また、実際に使い始めてから、学校や教師に何が起きたのでしょうか。「できる日本語」シリーズを使い始めた採用現場の先生方に、その舞台裏を伺いました。

Interview Vol.3 日本語教師―小山暁子さん

13/8/9 UP

“コンセプトを理解して使い方を勉強しよう”

“コンセプトを理解して使い方を勉強しよう”

小山暁子さんはビジネスパーソン専門でプライベートレッスン中心に教える日本語教師で、今年でそのキャリアは30年。徹底した教科書研究と、学習者個人の背景を大切にした授業をすることで、教師としての評価をゆるぎないものにしてきました。そのプロフェッショナルな目で徹底分析して使い始めた「できる日本語」シリーズ。どんな効果があるのでしょうか。

どのようなきっかけで「できる日本語」シリーズを使ってみようと思われたのですか。

小山:

プライベートレッスンでは学習者によって使う教科書が違うのですが、どれも構成が不自然だと前から感じていたんです。レベルごとに教えなくてはいけない語彙とか文型があって、それを提示するために実際には使わないような文や会話が載っているでしょう。でも必要なのは文型を覚えさせるための例文じゃない、言いたいことは学習者によって違うはずだと思っていました。

そんな時に嶋田和子先生の『目指せ、日本語教師力アップ!― OPIでいきいき授業』(ひつじ書房)という本を読んで、その考え方に感銘を受けたんです。2011年4月にその嶋田先生が監修した『できる日本語 初級 本冊』が発売されると聞き、アルクさんの最初の説明会に参加しました。話を聞いて、これは今までとは違うコンセプトの教科書だと思い、すぐに購入を決めたのです。

購入してから、実際にお使いになるまでにどのくらい時間がかかりましたか。

小山:

私は新しい教科書を使うとき、自分の勉強用、授業用、学習者への貸出用の3冊を買うんです。徹底的に読み込んで、どんなコンセプトで作られているのかをきちんと理解し、どの学習者にどうやって使うかを何度もシミュレーションします。今回も3カ月くらいかけて、他の教科書とどこが違うか、語彙や文法はどこに何が出ているかなどを自分用の本に書き込んでいきました。それでプライベートレッスンでも使えるという確信は持ったのですが、実際に『できる日本語 初級 本冊』に合う学習者が現れ、レッスンで使い始めるまでには半年かかりました。

しかも、その方は母国で少し勉強した教科書をお持ちで、新たに買い換えたくはないということだったので、初めはその教科書を復習しながら、『できる日本語 初級 本冊』を副教材として、聞き取りと発話練習を中心に使い始めました。すると、ナチュラルスピードに近いCDが聞き取れる、自分の言いたいことが話せるという達成感、「できる!できる!」(笑)という実感を持ったようですね。その後、数日『できる日本語 初級 本冊』を貸し出したら、結局、本人のほうからこちらに乗り換えたいと言いだしました。

他のテキストと比べて、どんなところが使いやすいのでしょうか。

小山:

引き出しやすく、仕掛けがしやすいという点ですね。教育=educationの語源educeは「引き出す」という意味だそうで、私は、学習者の中にあるものを引き出すのが教師の使命だと思っているんです。『できる日本語 初級 本冊』は、各課冒頭の「話してみよう」で各学習者の考えや真意、興味を知ることができるので、教師はそこからその人が実生活で使える言葉、話したい表現を引き出してあげられるんです。

また、この教科書は主にクラス授業に向けて作られていますが、「話してみよう」でじっくりイメージを作り上げさえすれば、教室場面のイラストでも、学習者はビジネスや生活の場面に、頭の中で置き換えて使うことができます。イラストだけで最初に文型がないから、どんな発話にするかは学習者が考えればいいわけです。だからどんどん話したくなる、話せるようになるんでしょうね。

ただ、課の最後の活動だけは、個人よりクラスでやったらもっと楽しいだろうなあと思います。私もクラス授業がしてみたくなりました(笑)。

小山先生

「教科書は素材。いいテキストは、新鮮な魚や野菜のようなもの。それを料理し、味付けするのが教師の役目だと思います。美味しく提供できるか、極上の素材を台無しにするかは、教師の腕次第。素材の特色を知り、腕を磨いていきましょう!」

学習者の反応はどうでしょうか。

小山:

絵が多くて、最初は見た目に抵抗を感じる人もいるようです。教師もそうですが、「教科書とはこういうもの」という既成概念があるんですよね。でも、実際に使ってみると、早いうちからいろいろ話をしたくなるようです。初級の人でも本人が話したがれば、初中級、中級の文型を教えてしまうこともあります。逆に、もともと無口な学習者には最初は単語だけでもいいと言うんです。そうすれば、声を出すことが怖くなくなって、いつの間にか話せるようになりますから。これも、言わなければならない文型がないからこそできることなんです。

最後に、採用を検討している方へアドバイスをお願いします。

小山:

使う前に教科書のコンセプトをよく勉強しておきましょう。今までと同じ使い方をしたのでは、もったいないことになります。まず教科書の始めのページから最後のページまで読み込むこと、そして説明会に行ったり、『できる日本語 初級 教え方ガイド&イラストデータCD-ROM』を活用したりして、研究してみてください。今日買って明日から使い始めるようなことはやめてくださいね。

どんな教科書がいいかは、教師によって、学習者によって、目的によって違います。でも「できる日本語」シリーズを使えば、まずは確実に話せるようになる。そして、日本語が話せるようになれば、日本人の中に入って行くのが怖くなくなり、学習者の世界がぐっと広がるんです。

記事一覧

「できる日本語」がよくわかる! TOPへ戻る

ページトップへ

その他のおすすめをチェック!

JSST

日本語会話力テスト

メルマガ登録

アルク日本語教育公式Facebookページ