「できる日本語」がよくわかる!

インタビュー 教科書採用現場に聞く!

使用している教科書を変更する――それは、学校にとっても教師にとっても一大事です。変更という決断までにどんなことを考え、実行したのでしょうか。また、実際に使い始めてから、学校や教師に何が起きたのでしょうか。「できる日本語」シリーズを使い始めた採用現場の先生方に、その舞台裏を伺うこのコーナーですが、今回は日本語学習ではなく、日本語教員養成のために使い始めたケースをご紹介します。

Interview Vol.5 群馬県立女子大学講師 ヤン・ジョンヨンさん

13/12/9 UP

教師自ら考える力が付く授業を

"教師自ら考える力が付く授業を"

2013年の4月から、群馬県立女子大学の日本語教員養成プログラムでは、日本人学生に向けた文法の授業で『できる日本語 初級 本冊』を使用しはじめました。使用する教科書を決定した、ヤン・ジョンヨンさんにお話を伺いました。

「一つの教材にこだわらず、たくさんの教材のコンセプトや使い方を研究した上で、自分で選んで使えるようになることが大切ですよね」とヤンさん

どんなきっかけで「できる日本語」を養成プログラムの授業に使おうと思ったんですか。

ヤン:

日本語教育学会に出席したときに、たまたま「できる日本語」シリーズを手に取ったんです。それで、このシリーズのコンセプトである、「なにができるようになるか」という行動目標が定めてあり、その行動目標達成のために文型がある、というところに共感しました。

それは具体的に言うと、「友達の意向を聞いたり情報を比べたりしながら相談することができる」という、課の中の目標があって、それを達成するために「~で~がいちばんAです」「~は~よりAです」などという文型を学ぶ、ということです。

従来の教科書では、「この課ではこの文型を学びますよ」というところからはじまる形式がほとんどです。だから、形が似ているからといって、使う状況が全く異なる文型を無理やり同時に教えるようなことも多かったのですが、それとは違う教科書だと思いました。

従来の形式の教科書に疑問を感じていたこともあり、「できる日本語」を授業で使用したいと思ったんです。

授業前の、教師の準備としてはどのようなことを行っていますか。

ヤン:

『できる日本語 初級 本冊』の最後には「シラバス一覧」があります。その中には課のタイトル、行動目標、学習項目が掲載されています。授業の準備としては、その行動目標だけを読んで、例えば「公共の場所で注意を聞き取ったり許可を求めたりすることができる」という目標であれば、そこからどのような会話、文型、語彙が出てくるか考えてみています。

そうやって考えてシラバスと突き合わせていくと、この教科書がどれだけ考えつくされて構成されているか、状況設定のイラストが練りに練られて作成されているか、がよくわかるんですよ。

実際にはどのような授業を行っているのですか。

ヤン:

わたしの準備と同じように『できる日本語 初級 本冊』の最後に載っている「シラバス一覧」をもとにして授業を行っています。学生には、行動目標である「できること」しか見ていない状態で、その行動目標であればどんな会話が行われるかを考え、学生同士でやりとりしてもらいます。また、どんな文型や語彙が必要だと思うか、ということを事前に考えてきてもらい、授業ではそれを板書してもらいます。

そうすると、本当に雑多な会話のやりとりや、答えが出てきます(笑)。

出してもらったら、わたしの方で交通整理をします。行動目標に合っていない会話、複雑すぎる文型や難しすぎる語などは「どうしてここで教えないか」を学生が納得できるように説明して削いでいきます。

学生の反応はどうですか。

ヤン:

はじめは「なぜ教える文型を自分で考えなければならないの」と思っているような雰囲気を感じましたし、「語彙は各課の後ろに載ってますよ」なんていう声があがりました。学生はそれまではほとんどの場合「今日はこれを勉強しますよ」とはじめに提示があって、教師がそれについて説明する、というスタイルの授業を受けてきているわけで、逆のスタイルに戸惑いがあったようです。

でもこの教科書自体が、はじめに「今日はこの文型と語彙を勉強しますよ」というタイプの教科書ではなくて、「こんな状況だったらどんな文型や語彙が必要だろう」と学習者が自ら考えて、知りたいという気持ちを活性化させるもので、それを実感してもらうための、このスタイルです。

幸い、授業前に、本文でどんな会話が行われているか、どんな文型が取り上げられているか、といういわゆる「答え」を見てくる学生はあまりいないようで、最近ではこの「必要なものを自ら考える」授業に楽しんで参加してくれる人が増えてきたのではないかな、と思います。大学では週に1回、「生活日本語」という、外国人が来る日本語教室を開いているのですが、ボランティアでその教室に参加してくれる学生もいます。

この「できる日本語」を使った授業を受けた学生には、どんな教師になってもらいたいですか。

ヤン:

学生には、与えられた教科書で漠然と、出てくる文型や語彙を教えるのではなく、「なにをするためにこの文型や語を教えるのか」「この相手に必要な文型や語彙はなにか」などを考えながら、授業を創造できる教師になってくれることを期待しています。この授業で、そのきっかけをつかんでもらえればと思います。

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