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ことばの書き方(文字表記)

分類:漢字の読み方(字音)

「願書」は「がんしょ」「ねがいしょ」の二通りの読み方がある?
 「願書(がんしょ)」は「入学願書」のように、何かの許可を得るために、願いの申し出として提出する書類のことを指します。この意味では、会社で休暇の申請などを行う場合に提出する「願書」も「がんしょ」という読みが正しいということになります。実際辞書などにもこの意味での「ねがいしょ」という独立した項目は見当たりません。しかし、実際にはそうした書類に「ねがいしょ」という読みが使われているのも事実であると思われます。また、辞書によっては「ねがいしょ」を「がんしょ」に同じとするものもあるようですが、「がんしょ」の読みの方は「入学願書」などかなり使用が限定されてきており、ご質問の「ねがいしょ」の意味では使われないという傾向もみられます。

 また「願書」には「ねがいしょ」という読みもあります。この場合は「願文(がんもん)」ということばと同じ意味で、神仏に対して願い事の趣を書き記したものという意味で用いられます。会社などで提出する書類の「ねがいしょ」はこれとは全く関係のないものであり、これは「願書」という漢字から類推された読みであると思われます。

 このように、「願書」は本来の意味とは別に、「がんしょ」では「入学願書」などを指し示し、「ねがいしょ」では「休暇願い」などを指し示すという具合に、読み方による「言葉の住み分け」が起こっているようです。この場合の「ねがいしょ」という読みは本来のものではありませんが、すでに定着しつつあるようなので、これを誤用と指摘してもあまり意味はありません。たとえば医師の診療部門に「口腔科」というものがありますが、これは本来「こうこうか」という読みが正しいものです。しかし実際には(特に医師の間では)「こうくうか」という読みが定着しています。このように言葉とは時代や社会のあり方とともに変動するものであり、「願書」に見られる読み方による使い分けもその好例といえるでしょう。



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