HOME > 日本語・日本語教師 > 日本語Q&A > ことばの仕組み(文法) > 「木村さんに赤ちゃんが生まれた」と「木村さんの赤ちゃんが生まれた」は何が違いますか?

ことばの仕組み(文法)

分類:助詞

「木村さんに赤ちゃんが生まれた」と「木村さんの赤ちゃんが生まれた」は何が違いますか?
 「木村さんに赤ちゃんが生まれた」という文を用いても、「木村さんの赤ちゃんが生まれた」という文を用いても、「木村さんが赤ちゃんを出産した」という事実を伝えることは可能です。

 とはいえ、「木村さんが妊娠していることを知らなかった聞き手に対して、「木村さんの赤ちゃんが生まれた」という文を用いるのは、不親切であると思われます。

 「木村さんに赤ちゃんが生まれた」「木村さんの赤ちゃんが生まれた」という二つの文は、いずれも「台風が発生した」という文と同じく、出来事を表す文です。われわれは、一般常識として「台風」というものがどんなものかその指示対象を知っていますから、「台風が発生した」という文を理解することができます。

 ところが、「木村さんが妊娠していること」を知らない聞き手に「木村さんの赤ちゃんが生まれた」という文を発話した場合、まさにこの発話によって聞き手の知識に「木村さんの赤ちゃん」という名詞句の指示対象が導入されることになります。名詞句の表す指示対象の導入と、出来事の発生の伝達が同時におこなわれるために、聞き手には大きな負担がしいられることとなります。聞き手が「木村さんが妊娠していること」を知っており、あるいはお腹の子どもに関して(性別など)ある程度の情報を得ていれば、「木村さんの赤ちゃんが生まれた」という発話はごく自然なものとなります。

 一方、「木村さんに赤ちゃんが生まれた」という文では、「木村さんに」は「赤ちゃんが生まれる」という出来事が発生する場所を表していると考えることができます(c.f.「九州に台風が発生した」「接合部分に亀裂が生じた」)。すなわちこの文は、「木村さんにおいて『赤ちゃんが生まれる』という出来事が起こった」という、出来事の発生のみを伝える文ですから、聞き手が「木村さんが妊娠していること」を知っているか否かにかかわらず用いることができます。



ことばの仕組み(文法) トップへ



日本語Q&A トップへ






JSST

日本語会話力テスト

メルマガ登録

アルク日本語教育公式Facebookページ