HOME > 日本語・日本語教師 > 日本語Q&A > ことばの仕組み(文法) > 「と」と「に」はどう違う?

ことばの仕組み(文法)

分類:助詞(と)

「と」と「に」はどう違う?
 例えば

  以下の内容で検討することにする。
  以下の内容で検討することとする。

 のような例では「と」と「に」を入れ替えてもそれほど違いがないように感じられますが、次のような場合では両者に違いが生じてきます。

  海外へ出張していたことにして予算を余分にとっていた。
 ×海外へ出張していたこととして予算を余分にとっていた。

前者は事実でないことをあたかも事実であるかのように装うという解釈ですが、そのような場合後者のように「と」を用いると不自然な表現になります。

 また、次のような例でも若干のニュアンスの違いが伴います。

  その一件は済んだことにして不問に付す。
  その一件は済んだこととして不問に付す。

 前者の例はまだ解決していない問題を解決したかのように扱うという解釈となりますが、後者は既に解決した問題を改めてそのように見なすという解釈が伴われます。

 これらの例はいずれも「~したことにする」、「~したこととする」というように「こと」の前がタ形になっています。そしてそのような場合「にする」は「とする」に比べて、事実に反することを事実のように装うという解釈が伴われるようになります。

 一方ご質問の例は「~することにする」、「~することとする」というように「こと」の前がル形になっています。この場合はタ形の場合に比べて両者の意味的な差異が小さくなります。これは、未実現のことがらは事実でも反事実でもないからであると考えられます。つまり未実現のことがらに対して「ことにする」を用いても、それが反事実であるような解釈にはならないということです。

 ただし、ル形の場合でも次のように両者に若干のニュアンスの違いは存在するようです。

  独立行政法人は、法人格を有することとする。
 △独立行政法人は、法人格を有することにする。
  今年の正月はハワイで過ごすことにした。
 ×今年の正月はハワイで過ごすこととした。

 これらの例から分かるのは、「~することにする」というのは個人の意向や目前の問題に対するその場限りの意思決定などを表すときに用いられる傾向が見られるのに対し、「~することとする」は策定の表示やより一般的な原理・原則の提示などに用いられる傾向が強くあるということです。ご質問の例でもこうしたニュアンスの違いはあるように感じられます。



ことばの仕組み(文法) トップへ



日本語Q&A トップへ






JSST

日本語会話力テスト

メルマガ登録

アルク日本語教育公式Facebookページ