社会保険労務士が「やめとけ」と言われる理由は、試験の重さそのものよりも、合格したあとの働き方が想像と違いやすいところにあります。
社労士試験の合格率は令和7年度で5.5%と低く、そこだけを見て「やめとけ」と言う人もいます。
ただし検索でよく見かける「悲惨」「嫌われる」「事務所はきつい」といった言葉は、試験ではなく職場や受験生活で実際に起きていることを指しています。
本記事では、社労士事務所の労働環境・何年も受からない人の共通点・AIで「いらなくなる」と言われる論点を、公表されている一次情報と条文にあたって整理します。
「やめとけ」と並んでよく検索される声として、社労士は「意味ない」と言われる背景もあります。
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編集部【編集部より】「やめとけ」の中身は、試験の話と職場の話が混ざったまま語られがちです。
編集部としては、受験を決める前に社労士事務所の繁忙期と開業後の登録者数の動きを見ておくことをおすすめします。
試験の重さは合格すれば終わりますが、働き方の相性は合格後もずっと続くからです。
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この記事の監修者


徳永 浩光
国家資格キャリアコンサルタント(登録番号:21028809)
大手から中小企業まで規模を問わず、キャリア支援制度の導入・人材教育・個人の相談業務に従事。「計画的偶発性理論」を重視したキャリア形成支援を行うほか、資格・教育分野の専門サイト監修を多数担当。企業研修や教育実務、ウェブメディア運営の知見を活かして情報発信しています。
社会保険労務士が「やめとけ」と言われる7つの理由


社会保険労務士が「やめとけ」と言われる理由は、試験の重さに関する5点と、合格後の働き方に関する2点の、あわせて7つに整理できます。
7つのうち試験そのものの重さは、難易度・勉強時間の専用記事で数字ごと扱っています。
本記事では、働き方と受験生活に直結する論点を掘り下げます。
| 「やめとけ」と言われる理由 | 本記事での扱い |
|---|---|
| 1. 合格率が5〜7%台と低い | 合格までの期間として解説 |
| 2. 科目合格制度がなく毎回全科目を受験する | 受からない構造として解説 |
| 3. 合格基準に科目別の「足切り」がある | 受からない構造として解説 |
| 4. 学習時間が約800〜1,000時間かかる | 合格までの期間として解説 |
| 5. 受験資格の条件がある | スタート地点の制約として解説 |
| 6. 独立開業は現実として簡単ではない | 開業後の現実として解説 |
| 7. AI・デジタル化による業務変化への不安 | 独占業務の範囲から解説 |
1. 合格までに数年かかる人が多く、時間の投資が読みにくい
社労士試験は1回で合格する前提を置きにくい試験で、令和7年度の合格率は5.5%でした(受験43,421人・合格2,376人)。
合格率の推移や科目別の重さ、受験資格の詳しい条件は、社労士試験の難易度の記事で数字ごと解説しています。
「やめとけ」と言う人が問題にしているのは、合格率そのものよりいつ終わるかが読めないことです。
働きながら学習する人が大半を占めるため、1年で終わるつもりが2年3年と延びると、仕事や家庭の予定を毎年立て直すことになります。
全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士白書によれば、2024年度の合格者の職業別構成は会社員が59.9%で最も多く、公務員8.6%、団体の職員4.9%、自営業4.2%、役員3.4%と続きます。
仕事を持ったまま挑む人が多数派である以上、期間が読めないことは金銭より大きなコストになります。
2. 合格しても実務未経験だと最初の職場が限られる
社労士試験に合格しても、実務未経験の場合は最初の職場が社労士事務所・社労士法人か、企業の人事労務部門にほぼ絞られます。
資格そのものが求人を生むわけではなく、労働社会保険の手続きを日常的に扱う職場でなければ資格を使う場面が発生しないためです。
合格後にどの働き方を選ぶかを決めずに勉強を始めると、合格した時点で進路の選択肢が想像より狭いことに気づきます。
「やめとけ」という声のうち、実務経験者から出てくるものはこの入口の狭さを指していることが多いといえます。
3. 社労士事務所の勤務は繁忙期の負荷が大きい
社労士事務所の勤務は、年度替わりと年末に業務が集中するため、繁忙期の負荷が平常月と大きく変わります。
顧問先を複数抱える体制では、同じ手続きを担当件数の分だけ期限内に処理する必要があります。
繁忙期に何が重なるのかは社労士事務所の繁忙期で月ごとに整理しました。
4. 知名度が低く、仕事内容が地味に見られやすい
社会保険労務士は、弁護士や税理士と比べて一般の知名度が低く、仕事内容が家族や同僚に伝わりにくい資格です。
実際の業務は労働社会保険の申請書類の作成や帳簿書類の作成が土台にあり、外から見ると地道な事務作業に映ります。
難関試験に長期間取り組む割に周囲から評価が返ってきにくい構造が、「割に合わないからやめとけ」という言い方につながっています。
社会保険労務士が「悲惨」「嫌われる」と言われる場面と、その中身
社会保険労務士が「悲惨」「嫌われる」と言われるのは、資格そのものへの評価ではなく、試験直後・職場・顧問先との関係という3つの場面で起きた出来事を指しています。
この2語について、国や連合会が実施した調査は公表されていません。
公表データが無い以上、割合や件数を数字で示すことはできないため、ここではどんな場面でその言葉が使われているかだけを整理します。
「悲惨」と言われるのは試験直後と開業直後の2場面
「社会保険労務士は悲惨」という言い方は、試験直後と開業直後の2つの場面に集中しています。
1つ目は試験直後です。
社労士試験は選択式・択一式ともに科目ごとの基準点があり、総合点が合格ラインを超えていても1科目の基準点割れで不合格になります。
1年分の学習が1科目の数点で消える経験をした人の言葉が、そのまま「悲惨」として検索結果に残っています。
2つ目は開業直後です。
顧問先がゼロの状態から始めると、登録費用と会費が先に出ていくのに売上が立たない期間が発生します。
この2場面はどちらも期間が限られた局面の話であり、資格の価値そのものを否定した評価ではありません。
「嫌われる」と言われるのは労使の板挟みになる場面
社会保険労務士が「嫌われる」と言われるのは、会社と従業員の利害が対立する場面に立ち会う仕事だからです。
社労士の依頼者は多くの場合、顧問料を払う企業側です。
一方で社会保険労務士法第1条は、適正な労働環境の形成に寄与することを制度の目的として掲げています。
就業規則の見直し・残業時間の管理・解雇や退職の手続きでは、依頼者である会社に法令どおりの対応を求める場面が出てきます。
会社から見れば厳しいことを言う専門家であり、従業員から見れば会社側の代理人に映るという、両側から距離を取られやすい立ち位置です。
「嫌われる」と言われやすい具体的な場面
- 就業規則の変更を説明する場面(従業員から不利益変更と受け取られる)
- 労働時間の管理方法を是正する場面(現場から運用が厳しくなると受け取られる)
- 解雇・退職勧奨の相談に関与する場面(会社側の立場と見られる)
- 助成金の要件を満たさないと伝える場面(経営者の期待と食い違う)
いずれも社労士個人の人柄ではなく、役割の構造から生じる摩擦です。
「性格が悪い」「やばい」と言われるときに起きていること
社労士に「性格が悪い」「やばい」という語が向けられるのは、法令の線引きを崩さずに伝える場面が続くためです。
社労士業務は、記載が1つ違うだけで届出が受理されない、あるいは給付が受けられないという性質を持っています。
そのため確認が細かくなり、相手には融通が利かない対応として伝わることがあります。
加えて、社労士には社会保険労務士法上の懲戒制度があり、法令に反する助言に応じることはできません。
「やばい」と表現される事例の中身を読むと、断ったこと自体が不満として語られている場合が少なくありません。
社労士事務所の働き方のリアル|繁忙期・離職・年収の立ち上がり
社労士事務所の働き方は、繁忙期の集中・担当件数の多さ・ミスが許されない緊張感の3つで特徴づけられます。
「社労士事務所はやめとけ」という検索が一定量あるのは、この3つが同時に来る時期があるためです。
ここでは繁忙期・離職・未経験の入口・開業後・事務所選びの順に整理します。
- 社労士事務所の繁忙期はいつで、何が重なるのか
- 「離職率が高い」と言われる理由と、公表データの有無
- 未経験・資格なしから社労士事務所に入るときの現実
- 開業した場合の現実|登録区分別の会員数が示すもの
- 事務所選びで先に確かめておきたいこと
社労士事務所の繁忙期はいつで、何が重なるのか
社労士事務所の繁忙期は、算定基礎届と労働保険の年度更新が重なる6月から7月、そして年末調整と社会保険料の改定が続く11月から1月です。
繁忙期が重い理由は、業務量そのものよりも期限が法令で決まっている点にあります。
| 時期 | 重なる主な業務 |
|---|---|
| 4月 | 入社に伴う資格取得届、雇用契約・36協定の見直し |
| 6〜7月 | 労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届 |
| 9〜10月 | 標準報酬月額の改定にともなう控除額の切り替え |
| 11〜1月 | 年末調整、賞与支払届、法改正対応の顧問先案内 |
| 通年 | 入退社の手続き、給与計算、労災・傷病手当金などの給付申請 |
顧問先の入退社は繁忙期でも止まらないため、季節業務と通年業務が積み上がります。
「休めない」という声が出るのは、この重なりが数週間続く構造があるからです。
「離職率が高い」と言われる理由と、公表データの有無
社労士事務所の離職率を示す公的な統計は公表されていません。
厚生労働省の雇用動向調査は産業分類ごとの離職率を出していますが、社労士事務所だけを取り出した区分は設けられていないためです。
したがって「離職率◯%」という数字を根拠に判断することはできません。
そのうえで、離職率が高いという印象が生まれる要因は説明できます。
「離職率が高い」という印象につながりやすい要因
- 1事務所あたりの人数が少なく、1人辞めただけで比率が跳ね上がる
- 独立を目標に入る人が一定数いて、修業期間を終えると出ていく
- 繁忙期が読めるため、繁忙期明けに退職時期が集中しやすい
- 求人が継続的に出ている事務所が目につきやすい
求人が常に出ていることは、離職が多い場合もあれば、事業拡大や採用基準が厳しい場合もあります。
求人の出方だけで判断せず、面接で在籍年数の分布を確認するほうが確実です。



離職率の数字が出てこないことを不安に感じる必要はありません。
編集部としては、公表されていない数字を推測で埋めるより、応募先の事務所に「在籍年数の分布」と「繁忙期の残業実績」を直接聞くほうが判断材料になると考えています。
どちらも事務所側が把握している情報で、答えられない場合はその反応自体が判断材料になります。
未経験・資格なしから社労士事務所に入るときの現実
社労士事務所は資格を持たない未経験者の採用も行っており、補助的な事務職としての募集が入口になります。
入口が開いている一方で、任される業務は最初のうち手続き書類の作成補助やデータ入力が中心です。
社会保険労務士法第27条は、報酬を得て申請書等の作成と帳簿書類の作成を業として行うことを、社労士と社労士法人以外に認めていません。
資格を持たない従業者は、あくまで社労士の指揮のもとで補助を担う立場になります。
この構造を知らずに入ると、専門的な仕事を任されないという不満が生まれやすい点に注意が必要です。
逆に、実務を覚えながら受験を続ける計画で入る人にとっては合理的な選択になります。
開業した場合の現実|登録区分別の会員数が示すもの
社労士の開業登録は、毎年2,000〜3,000人の合格者が出ているにもかかわらず、10年間でほとんど増えていません。
全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士白書2025年版によると、2024年度末の登録者数は46,237人です。
内訳は開業24,819人、法人の社員4,127人、勤務等17,291人となっています。
| 登録区分 | 2015年度末 | 2024年度末 | 10年の増減 |
|---|---|---|---|
| 開業 | 23,480人 | 24,819人 | +1,339人 |
| 法人の社員 | 1,648人 | 4,127人 | +2,479人 |
| 勤務等 | 14,982人 | 17,291人 | +2,309人 |
| 合計 | 40,110人 | 46,237人 | +6,127人 |
10年で合計は6,127人増えていますが、増加分の大半は法人の社員と勤務等が占めています。
個人での開業登録の純増は1,339人にとどまり、新たに開業する人と登録をやめる人がほぼ拮抗していることが読み取れます。
なお、連合会は廃業率という指標を公表していないため、「◯%が廃業する」という言い方はできません。
言えるのは、合格者数に対して開業登録が積み上がっていないという事実です。
勤務と開業でどれだけ収入が変わるのかは、社労士の年収の記事で働き方別に解説しています。
事務所選びで先に確かめておきたいこと
社労士事務所を選ぶときは、繁忙期の残業実績・1人あたりの担当件数・教育体制の3点を面接で確認しておくと入所後のギャップが減ります。
求人票の文言だけでは、同じ「社労士事務所」でも労働環境が大きく異なるためです。
- 繁忙期(6〜7月・11〜1月)の残業時間の実績を月単位で聞く
- 1人あたりの顧問先の担当件数と、従業員規模の内訳を聞く
- 未経験者に対する教育担当の有無と、独り立ちまでの想定期間を聞く
- 電子申請の導入状況と、給与計算に使っているシステムを聞く
- 受験を続ける場合に、試験前の休暇取得実績があるかを聞く
4つ目の電子申請とシステムの質問は、事務所の業務効率を測るうえで有効です。
紙と手作業が多く残っている事務所ほど、繁忙期の負荷が人手に跳ね返ります。
何年も受からない・撤退する人に共通すること
社労士試験に何年も受からない人に共通するのは、総合点は届いているのに1科目の基準点で落ちるという同じ形の不合格を繰り返している点です。
社労士試験は科目合格制度を採用しておらず、前年の得点を持ち越せません。
複数回の受験を経て合格する人が多いのはこの構造によるもので、受験回数が増えること自体は珍しくありません。
「あと1点」で落ち続ける構造
社労士試験で「あと1点」が続くのは、合格判定が総合点と科目別基準点の二段構えになっているためです。
- 選択式:総得点22点以上かつ各科目3点以上(労災保険法・労務管理その他の労働に関する一般常識・社会保険に関する一般常識は2点以上)/40点満点
- 択一式:総得点42点以上かつ各科目4点以上(雇用保険法は3点以上)/70点満点
- 総得点の基準点は年度ごとに補正され、合格発表日に公表される
選択式は1科目5問しかなく、見慣れない条文が出た年は運の要素が大きく働きます。
択一式で高得点を取れる実力があっても、選択式の1科目で基準点を割れば不合格になります。
受験を重ねている人ほど、この一撃で落ちる経験が積み重なり、努力と結果が結びつきにくく感じられます。
「やめとけ」という言葉が受験経験者から出てくる背景には、この構造への疲弊があります。
撤退を考えるときに見るべき判断材料
社労士試験からの撤退を判断するときは、受験回数ではなく直近の得点の形と資格を使う予定の有無の2点で考えると整理できます。
受験回数だけを基準にすると、実力が合格圏に入っているのに降りてしまう場合があるためです。
| 直近の得点の形 | 読み取れること | おすすめの判断 |
|---|---|---|
| 択一式の総合点が基準を超え、選択式の1科目だけ割れた | 実力は合格圏で、出題との相性で落ちている | 続ける価値が高い |
| 択一式の総合点が基準に届かない年が続く | 学習量または進め方に課題が残っている | 学習方法を変えて続ける |
| 得点が年ごとに下がっている | 学習時間の確保自体が難しくなっている | 時期を改めるか撤退を検討 |
| 合格後に資格を使う予定が固まっていない | 合格しても働き方が変わらない可能性がある | 目的を決めてから再開 |
4行目は、受験の継続とは別に確認しておきたい観点です。
合格後に資格を使う場面が思い浮かばない状態で受験だけを続けると、合格しても働き方が変わらないまま終わる可能性があります。
受け直す場合に変えるべきこと
社労士試験を受け直す場合に効果が出やすいのは、学習時間を増やすことよりも選択式で落とさない対策に配分を移すことです。
択一式で総合点を取れている人が同じ勉強を繰り返しても、選択式の基準点割れは減りません。
再受験で見直したい3点
- 条文の言い回しを原文で確認する時間を確保する(選択式は語句の穴埋め)
- 労働一般常識・社会保険一般常識の対策を後回しにしない
- 法改正と白書の情報を、毎年更新される教材で取り込む
学習時間の総量と配分の目安は、社労士の勉強時間の記事で科目別に解説しています。
市販テキストだけで進めてきた人は、社労士の独学の記事で失敗パターンを確認してから方針を決めると判断しやすくなります。
\再受験向けの中上級コースもあり/



合格基準を並べると、「あと1点」が運の問題ではないことがわかります。第57回の選択式は総得点22点以上に加えて各科目3点以上、択一式は総得点42点以上に加えて各科目4点以上で、合格判定には科目別の関門が合計18回ある計算になります。総合点を伸ばす勉強はこの関門を1つも減らしません。受け直すときに変えるべきなのは学習量より、基準点を割りやすい科目に時間を先に置く配分のほうです。
AIで社労士は「いらなくなる」のか|独占業務の範囲から考える
AIによって社労士がいらなくなるかどうかは、社会保険労務士法が定める業務のうちどこまでが自動化できる作業なのかで線を引くと判断できます。
社会保険労務士法第2条第1項は、社労士の業務を1号・2号・3号に分けています。
そして第27条は、報酬を得て1号と2号の事務を業として行うことを、社労士と社労士法人以外に禁じています。
| 区分 | 内容 | 独占業務か |
|---|---|---|
| 1号業務 | 労働社会保険諸法令に基づく申請書等の作成、提出代行、事務代理 | 独占業務 |
| 2号業務 | 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成 | 独占業務 |
| 3号業務 | 労務管理その他の労働に関する事項・社会保険に関する事項の相談、指導(遵守状況の監査を含む) | 独占業務ではない |
| 紛争解決手続代理業務 | あっせん・調停の代理、和解交渉、和解契約の締結 | 特定社会保険労務士に限る |
1号・2号業務は何が自動化され、何が残るのか
1号・2号業務のうち自動化が進んでいるのは、決まった様式に決まった値を書き写す部分です。
電子申請と給与計算システムの普及によって、資格取得届や算定基礎届のような定型の届出は、入力から送信までを一括で処理できるようになっています。
一方で残るのは、そもそも何を届け出るべきかを決める部分です。
実務では、契約形態が途中で変わった従業員の扱いや、複数事業所に勤務する人の資格関係など、事実関係の確認から始まる案件が発生します。
入力を代わりに行う機能が普及するほど、判断の部分だけが仕事として残る形になります。
3号業務が置き換わりにくい理由
3号業務が置き換わりにくいのは、相談と指導の中身が個々の会社の事情に依存し、正解が1つに定まらないためです。
社会保険労務士法第2条第1項第3号は、労務管理その他の労働に関する事項について相談に応じ、または指導することを社労士の業務としています。
就業規則をどう定めるか、勤務制度をどう組み替えるかは、法令の範囲内で複数の選択肢があり、会社の実情に合わせて選ぶ必要があります。
ただし3号業務は独占業務ではないため、コンサルティング会社や人事担当者と競合する領域でもあります。
「AIに奪われない」と言い切るのではなく、独占が及ばない領域で選ばれる必要があると捉えるほうが実態に近いといえます。



AIの影響を心配するなら、1号・2号業務と3号業務のどちらを軸にするかを先に考えるほうが実務的です。
編集部としては、定型の届出を早く正確に回せることと、相談に答えられることは別の能力だと考えています。
受験段階では見えにくいこの違いが、合格後の働き方の満足度を分けます。
特定社会保険労務士とは(紛争解決手続代理業務の範囲)
特定社会保険労務士とは、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿に付記を受けた社労士のことです。
全国社会保険労務士会連合会によると、特定社労士の登録者数は2024年度末で14,405人です。


紛争解決手続代理業務は、裁判ではなくADR(裁判外紛争解決手続)で個別労働関係紛争を解決する場面の代理業務です。
社会保険労務士法第2条第1項第1号の4から第1号の6が、その範囲を定めています。
| 手続 | 特定社労士ができること |
|---|---|
| 都道府県労働局の紛争調整委員会によるあっせん、パワハラ・セクハラ等の調停 | 紛争当事者の代理 |
| 都道府県労働委員会が行う個別労働関係紛争のあっせん | 紛争当事者の代理 |
| 厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続 | 紛争当事者の代理(単独で代理できる紛争の目的の価額は120万円まで) |
| 上記の手続に関する対応 | 相談に応じること、和解の交渉、和解契約の締結 |
紛争の目的の価額が120万円を超える案件は、弁護士が同一の依頼者から受任している場合に限って関与できます。
付記を受けていない社労士は、この代理業務を行えません。
相談と交渉が中心になる領域であり、書類作成の自動化とは性質が異なる仕事だといえます。
特定社労士になるには(特別研修と紛争解決手続代理業務試験)
特定社労士になるには、厚生労働大臣が定める特別研修を修了し、紛争解決手続代理業務試験に合格したうえで、社会保険労務士名簿に付記を受ける必要があります。
受験資格は社労士であることと特別研修の修了(修了見込みを含む)で、社労士試験の合格だけでは受けられません。
- 社会保険労務士として登録する
- 特別研修(総時間63.5時間)を受講して修了する
- 紛争解決手続代理業務試験を受験して合格する
- 連合会に備える社会保険労務士名簿に付記を受ける
特別研修は、中央発信講義30.5時間・グループ研修18時間・ゼミナール15時間の3つで構成されています。
紛争解決手続代理業務試験の2024年度の結果は、受験者856人・合格者398人・合格率46.50%でした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 社会保険労務士であり、かつ特別研修の修了者(修了見込者を含む) |
| 特別研修の総時間 | 63.5時間(中央発信講義30.5時間+グループ研修18時間+ゼミナール15時間) |
| 2024年度の受験者数 | 856人 |
| 2024年度の合格者数 | 398人 |
| 2024年度の合格率 | 46.50% |
| 登録者数 | 14,405人(2024年度末) |
合格率は社労士試験より高いものの、受験できる人が社労士に限られるため母集団が異なります。
それでも社会保険労務士を目指すべき人の特徴


社会保険労務士を目指す価値が高いのは、合格後に働きたい場所がすでに決まっている人です。
「やめとけ」と言われる理由の多くは、資格を取ってから使い道を考える前提に立ったときに発生します。
- 人事・労務・社会保険の専門家として活躍したい人
- 企業の人事・労務部門でキャリアアップしたい人
- 独立・副業・複業を視野に入れている人
- 行政書士・FP・中小企業診断士との「ダブルライセンス」を狙っている人
人事・労務・社会保険の専門家として活躍したい人
労働法と社会保険の専門家として企業や個人を支援したい人は、社労士資格を最も素直に活かせます。
申請書等の作成と帳簿書類の作成は、社会保険労務士法第27条により社労士と社労士法人だけに認められた業務です。
制度で守られた領域を持てることが、他の民間資格との決定的な違いになります。
企業の人事・労務部門でキャリアアップしたい人
会社員として人事・労務部門で専門性を高めたい人にも、社労士の学習内容はそのまま業務に接続します。
給与計算・労務管理・助成金の要件確認は、勤務先の社内業務としても発生するためです。
社会保険労務士白書によれば、2024年度の合格者の59.9%は会社員が占めています。
働きながら取得して社内で活かす道は、合格者の分布から見ても主流の使い方だといえます。
独立・副業・複業を視野に入れている人
独立や副業を視野に入れている人にとって、社労士は開業までの初期費用が小さい資格です。
店舗や在庫を持たずに始められ、顧問契約が積み上がれば収入が安定しやすい性質があります。
ただし開業登録の純増が小さい実態は、開業した場合の現実で確認したとおりです。
勤務しながら準備期間を確保できる人ほど、立ち上がりの負担を抑えられます。
行政書士・FP・中小企業診断士との「ダブルライセンス」を狙っている人
行政書士・FP・中小企業診断士のいずれかを持っている人は、社労士と組み合わせることで相談できる範囲を広げられます。
行政書士は許認可、FPは個人の資産設計、中小企業診断士は経営全般と、社労士の人事労務が重なりにくい領域を担うためです。
行政書士試験の合格者は社労士試験の受験資格も満たすため、順番を意識して取得する人もいます。
組み合わせを検討している方は、行政書士の通信講座の記事もあわせてご覧ください。
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| 合格特典 | お祝い3万円 または 全額返金 |
| 料金(2027年合格目標) | 43,780円〜(キックオフ社労士) |
| 給付金指定コースの訓練期間 | 12か月 |
| テキスト | 紙+デジタル |
| 質問対応 | フルコース50回・ライトコース20回まで |
| 給付金対象 | 入門カリキュラム/フル・中上級カリキュラム/フルの2コース |
| 分割払い | 教育クレジットローンあり |
| 無料体験 | あり |
合格特典の対象は2027年合格目標の入門カリキュラム/フル・中上級カリキュラム/フル・上級カリキュラム/フルの3コースで、各カリキュラムのライトとキックオフ社労士は対象外です。
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| コース名 | 税込料金 |
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| 基礎講義&入門総合講義 | 107,800円 早期キャンペーン:97,020円 |
| 入門カリキュラム/ライト | 184,800円 早期キャンペーン:166,320円 |
| 入門カリキュラム/フル | 261,800円 早期キャンペーン:235,620円 |
| 中上級カリキュラム/ライト | 228,800円 早期キャンペーン:205,920円 |
| 中上級カリキュラム/フル | 305,800円 早期キャンペーン:275,220円 |
| 上級カリキュラム/フル | 272,800円 早期キャンペーン:245,520円 |
一般教育訓練給付金の対象講座を選べば、自己負担を抑えられます。
教育クレジットローンによる分割払いにも対応しています。
アガルートに向いている人と受講者の声
アガルートが向いているのは、選択式で落とさない対策まで含めて体系的に進めたい人です。
- 高い合格率の講座で確実に合格したい方
- 合格特典(全額返金・お祝い金)でモチベーションを保ちたい方
- 質問サポートが充実した環境で学びたい方
- 再受験で学習の進め方を変えたい方
アガルート社労士講座 受講者の良い口コミ



各科目のテキストに条文が記載されているのは、社労士試験対策ではあまり他社にはないため非常に有難く、自分では今回合格できた重要な要素のひとつになったのではと思っています。
引用元:アガルート公式サイト



池田先生の語呂合わせビジュアル法が印象的で、ただ暗記するのではなくイメージと組み合わせる斬新な暗記法で、覚えにくい数字や各制度の適用範囲などを正しく記憶することができました。
引用元:アガルート公式サイト



先日、社労士試験でお世話になった予備校アガルートから合格特典の受講料全額返金の振り込みがありました。 アガルートには感謝の気持ちで一杯です。社労士として活躍することが一番の恩返しと思っています
引用元:Xの投稿
アガルート社労士講座 気になる口コミ



来年の社労士試験に向けてアガルートの中上級カリキュラムに申し込みました… 受講料高い! 痛い出費だから何としてもやり切らないと
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受講料の負担を指摘する声もあるため、給付金の対象コースかどうかを申込前に確認しておくと納得して選べます。
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よくある質問(FAQ)
社労士の働き方と受験の継続について、検索でよく調べられている質問に答えます。
社労士事務所はやめとけと言われるのはなぜですか?
社労士事務所が「やめとけ」と言われる主な理由は、6〜7月と11〜1月に法定期限のある業務が集中し、繁忙期の負荷が高いことです。
加えて、手続きのミスが顧問先の従業員の給付に直結するため、確認作業の緊張感が続きます。
繁忙期の残業実績と1人あたりの担当件数は事務所ごとに大きく異なるので、面接で実績を確認することをおすすめします。
社労士事務所の離職率は公表されていますか?
社労士事務所に限定した離職率の公的統計は公表されていません。
厚生労働省の雇用動向調査は産業分類ごとに離職率を公表していますが、社労士事務所だけを取り出す区分が設けられていないためです。
資格がなくても社労士事務所で働けますか?
資格がなくても社労士事務所の補助的な事務職として働くことは可能です。
ただし社会保険労務士法第27条により、報酬を得て申請書等の作成や帳簿書類の作成を業として行えるのは社労士と社労士法人だけです。
資格を持たない従業者は、社労士の指揮のもとで補助を担う立場になります。
社労士試験に何年も受からないときは撤退すべきですか?
撤退の判断は受験回数ではなく、直近の得点の形で決めることをおすすめします。
択一式の総合点が基準を超えていて選択式の1科目だけで落ちている場合は、実力が合格圏にあり出題との相性で落ちている可能性があります。
一方で得点が年々下がっている場合は、学習時間の確保自体が難しくなっているサインです。
特定社会保険労務士と社会保険労務士は何が違いますか?
特定社会保険労務士は、紛争解決手続代理業務試験に合格して名簿に付記を受けた社労士で、ADRにおける紛争当事者の代理ができます。
付記を受けていない社労士は、あっせんや調停の代理、和解交渉、和解契約の締結を行えません。
厚生労働大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続では、単独で代理できる紛争の目的の価額が120万円までと定められています。
AIが普及すると社労士の仕事はなくなりますか?
定型的な届出の作成と送信は自動化が進んでいますが、何を届け出るべきかを判断する部分と、相談・指導にあたる3号業務は残ります。
ただし3号業務は独占業務ではないため、コンサルティング会社や社内の人事担当者と競合します。
「なくならない」と考えるより、独占が及ばない領域で選ばれる準備が必要だと捉えるほうが実態に近いといえます。
まとめ
社会保険労務士が「やめとけ」と言われる理由は7つに整理でき、そのうち働き方に関わるのは開業の現実とAIによる業務変化の2つです。
- 合格率が5〜7%台と低い(令和7年度は5.5%)
- 科目合格制度がなく毎回全科目受験が必要
- 選択式・択一式それぞれに科目別の足切りがある
- 必要学習時間が約800〜1,000時間と長い
- 受験資格の条件がある
- 独立開業は現実として簡単ではない
- AI・デジタル化への業務変化への不安
「悲惨」「嫌われる」という言葉は、試験直後・開業直後・労使の板挟みという限られた場面を指しており、公的な統計で裏づけられた評価ではありません。
社労士事務所の働き方は、6〜7月と11〜1月に業務が集中する繁忙期の重さが特徴です。
開業については、登録者全体が10年で6,127人増えた一方、開業登録の純増は1,339人にとどまっています。
AIの影響は1号・2号業務の定型部分に及ぶ一方、判断を伴う部分と3号業務、特定社労士による紛争解決手続代理業務は性質が異なります。
- 労務・社会保険の専門家として活躍したい人
- 企業の人事・労務部門でキャリアアップしたい人
- 将来的な独立・副業を視野に入れている人
- ダブルライセンスで専門性を高めたい人
合格後の働き方が決まっている人にとって、社労士は制度で守られた業務を持てる数少ない資格です。
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