AIに奪われやすいのは、ルールや手順が決まった単純作業・データ処理・定型業務が中心の仕事です。反対に、人の気持ちをくみ取る仕事や、現場ごとに対応が変わる仕事、正解のない判断に責任を持つ仕事は残りやすいとされています。
ただし多くの調査の見方は、仕事がまるごと消えるより、仕事の中の一部の作業がAIに置き換わる、というものです。この記事では、2025年の新しい調査とよく聞く「49%」という数字の出所から、職種ごとに置き換わる作業と残る作業、残る側に回るための学び方までを紹介します。
AIに仕事が奪われるのは本当?「49%」の数字の出所

「AIで仕事の半分がなくなる」という話のもとをたどると、いくつかの調査に行き着きます。ここでは2025年に出た新しい調査から順に、どの調査が何を数えた数字なのかを確かめておきましょう。
生成AIで何が変わったか(ILO・2025年「4人に1人の仕事に影響」)
ILO(国際労働機関)は2025年5月、生成AI(文章や画像を作るAI)が世界の仕事にどれくらい影響するかを調べた報告を出しました。ChatGPTのような生成AIが広まってからの調査です。
ILOは、世界で働く人の4人に1人が、生成AIの影響を受ける職業に就いていると推計しました。影響がいちばん大きい区分に入るのは、世界の雇用の3.3%です。職業の中では、事務の職業が最も強く影響を受けると見ています。
ただし、ILOのいう「影響を受ける」は、「なくなる」とは別の意味です。ほとんどの職業には人の手が要る作業があるため、いちばん起こりやすいのは仕事の中身が変わることだと、ILO自身が結論づけています。このあと紹介する2013年・2015年の研究の「47%」「49%」は、置き換わる確率の高い職業に就く人の割合で、ILOの「4人に1人」とは数え方が別物です。
- 出典:ILO(国際労働機関)「Generative AI and Jobs: A Refined Global Index of Occupational Exposure」(2025年5月20日)。2026年10月21日に確認しました。
2030年までの仕事の増減(世界経済フォーラム・2025年)
世界経済フォーラム(WEF)は2025年1月、「Future of Jobs Report 2025(仕事の未来レポート2025)」を発表しました。22の業種、55の国と地域で、1,000社を超える企業に2030年までの見通しを聞いた調査です。
報告では、2030年までに1億7,000万の仕事が新しく生まれ、9,200万の仕事がなくなると見ています。差し引きでは7,800万の増加です。
ただし、この増減はAIだけによるものではありません。技術の進歩に加え、脱炭素や景気、人口の変化など、いくつもの原因をまとめた見通しです。AIに絞った数字では、AIで自動化できる仕事について、人を減らす予定と答えた企業が40%でした。
- 出典:世界経済フォーラム「Future of Jobs Report 2025」の発表(2025年1月8日)、「Future of Jobs Report 2025」(2025年1月)。2026年10月21日に確認しました。
「日本の労働人口の49%」は野村総研とオックスフォード大の共同研究(2015年)
一方、よく聞く「49%」は、生成AIが広まる前の2015年に出た数字です。野村総合研究所(野村総研)は2015年12月、英オックスフォード大学のマイケル A. オズボーン准教授、カール・ベネディクト・フレイ博士との共同研究の結果を発表しました。国内の601種類の職業について、人工知能やロボットに置き換わる確率を試算したものです。
その結果は、10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業で、技術的には人工知能やロボットなどによる代替が可能になる、というものでした。
注意したいのは、ここでいう「代替できる」は、技術的にできるかどうかの話だという点です。実際に置き換わるかどうかは人手の足りなさなど社会の事情にも左右されますが、野村総研は、試算ではそれを考えていないと断っています。ひとりの仕事のうち一部分だけがAIに置き換わる場合も、この試算には入っていません。
- 出典:野村総合研究所 ニュースリリース「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」(2015年12月2日)。2026年10月20日に確認しました。
元になった米国の研究は「47%」(フレイ氏・オズボーン氏・2013年)
野村総研の試算は、フレイ氏とオズボーン氏が2013年に米国を対象に行った研究と同じやり方で行われました。その研究「The Future of Employment」は、米国の702の職業について、コンピューターに置き換わる確率を出したものです。
研究では、米国の雇用の約47%が、置き換わるリスクの高い職業にあたると推計しています。同じやり方で調べた英国は35%で、日本の49%は3か国の中でいちばん高い数字でした。
- 出典:オックスフォード大学 Oxford Martin School「The Future of Employment」(2013年)。英国の35%は、野村総研のニュースリリースの図1より。2026年10月20日に確認しました。
作業ごとに見ると数字は小さくなる(OECD・2016年「9%」)
一方、OECD(経済協力開発機構)が2016年に出した報告は、別の見方をしています。置き換わりやすいとされる職業にも、AIやロボットには難しい作業がたくさん残っている、という見方です。
そこでOECDは、職業をまるごと見るのではなく、一人ひとりがしている作業ごとに見て、21か国を調べました。すると、自動化できる仕事は平均で9%でした。国による差もあり、韓国は6%、オーストリアは12%です。
同じ「AIで仕事がなくなるか」という問いでも、職業ごとに見るか、作業ごとに見るかで、数字は5分の1ほどまで変わるということです。
- 出典:OECD「The Risk of Automation for Jobs in OECD Countries」(2016年)。2026年10月20日に確認しました。
「AIに仕事を奪われる」は嘘?いま言えること
「AIに仕事を奪われる」は、まったくの嘘でも、そのままの本当でもありません。ここまでの調査から言えるのは、次の4つです。
- 生成AIで影響を受ける仕事は広がったが、その多くは仕事の中身が変わる(ILO・2025年)
- 2030年までの見通しでは、なくなる仕事より生まれる仕事のほうが多い。ただしAI以外の原因も含んだ数字(世界経済フォーラム・2025年)
- 49%・47%は「その割合の人が、技術的には置き換えられる確率の高い職業に就いている」という数字で、「49%の仕事がなくなる」という意味ではない(2013年・2015年)
- 作業ごとに見ると、自動化できる仕事の割合はずっと小さくなる(OECD・2016年)
ILOの報告は、1990年代に銀行のATMが広まったときの例も挙げています。お金を引き出す作業は機械に移りましたが、店舗が増えたことで、込み入った相談に応じる銀行の窓口係はかえって求められるようになりました。AIでも、なくなる仕事より、中身が入れかわる仕事のほうが多いと考えておくとよいでしょう。
AIに奪われやすい仕事の特徴(3つ)

野村総研の研究では、特別な知識やスキルが求められない職業に加え、データの分析や、決まった順序で体系的に進める作業が多い職業ほど、AIで代替できる可能性が高い傾向がありました。ここでは、その特徴を3つに分けて見ていきます。
ルールや手順が決まっている
決まった手順どおりに進めれば終わる作業は、AIやコンピューターがいちばん得意とするところです。伝票の数字を表に写す、決まった書式で書類を作る、といった作業がこれにあたります。
手順を言葉で書き出せる作業は、そのままAIやシステムに渡せます。自分の仕事を手順書にできるかどうかが、置き換わりやすさの1つの目安になるでしょう。
同じ作業のくり返しが多い
毎日、毎回同じことをくり返す作業も、機械に任せやすい作業です。工場の組み立てや倉庫での仕分け、商品の包装などは、ロボットが同じ動きを疲れずに続けられます。
同じ作業が多いほど、機械を入れたときに減らせる手間が大きくなります。会社が自動化に踏み切りやすいのも、こうした作業からです。
人との込み入ったやりとりが要らない
野村総研は、他の人と協力する、相手を理解する、説得や交渉をする、といった職業はAIでの代替が難しい傾向にあるとしています。裏を返すと、人とのやりとりが少なく、ひとりで完結する作業ほど置き換わりやすい、ということです。
よくある質問に決まった答えを返すだけの問い合わせ対応も、この特徴にあてはまります。相手の事情に合わせて答えを変える必要がないためです。
AIに奪われやすい仕事の一覧(当サイトのまとめ)

次の表は、AIに奪われやすいとよく挙がる職業を当サイトでまとめたもので、順位は付けていません。「根拠」の列は、その職業がもとの調査でどう扱われているかです。
置き換わりやすいかどうかは、作業の手順がどれだけ決まっているかで決まります。仕事の難しさや、求められる技術の高さとは別の話です。また、仕事を作業に分けて「何割をAIでできるか」と数えるとき、ついでに受ける相談や、その場で出てくる質問への対応は数に入りにくいものです。表の職業も、仕事がまるごとなくなるという意味ではありません。
| 職業 | 置き換わりやすい理由 | 根拠(もとの調査) |
|---|---|---|
| 一般事務・データ入力 | 決まった書式でデータを入れる、書類を作る作業が多い | 野村総研:一般事務員・データ入力係が「代替可能性が高い100種」に入る ILO:データ入力係は影響がいちばん大きい区分 |
| コールセンター(一次対応) | よくある問い合わせには、決まった答えを返せる | ILO:コールセンターの案内係は影響が2番目に大きい区分 野村総研:受付係・通信販売受付事務員が100種に入る |
| レジ・店頭 | 会計の手順が決まっていて、セルフレジなどの機械に移しやすい | 野村総研:レジ係・スーパー店員が100種に入る 世界経済フォーラム:レジ係は減り方が大きい職業の1つ |
| 銀行窓口 | 入出金や書類の受付は、手順が決まっている | 野村総研:銀行窓口係・貸付係事務員が100種に入る ILO:銀行窓口係は影響が2番目に大きい区分 |
| 工場・倉庫の単純作業 | 同じ動きのくり返しが多く、ロボットに任せやすい | 野村総研:倉庫作業員・こん包工・自動車組立工が100種に入る |
| 定型の翻訳・ライティング | 決まった型の文章なら、生成AIが下書きを作れる | ILO:翻訳者・通訳者と著述家は、どちらも影響が2番目に大きい区分 |
| 運転(タクシー・バス・電車) | 決まった道を、決まった手順で走る | 野村総研:タクシー運転者・路線バス運転者・電車運転士が100種に入る |
| 経理事務 | 数字の入力や照らし合わせを、ルールどおりに進められる | 野村総研:経理事務員・会計監査係員が100種に入る |
- 出典:野村総合研究所ニュースリリースの【ご参考】「人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業」(2015年)
- ILO「Generative AI and Jobs」の付表A1(2025年)。影響の大きさを4つの区分に分けています。
- 世界経済フォーラム「Future of Jobs Report 2025」の発表(2025年)
- いずれも2026年10月20日に確認しました。
なお、運転の仕事は、調査によって見方が分かれます。世界経済フォーラムの2025年の報告では、小型トラックや配送の運転手は、2030年までに人数が増える職業の2位に入っています。同じ報告で減る側に入っているのは、在庫や出荷の記録をする事務員のほうです。
「AIに奪われる仕事ランキング」が記事ごとに違う理由
ランキングが記事ごとに違うのは、もとにしている調査と、その調査の年が違うためです。どの職業を何位にするかは、それぞれの記事が決めています。
たとえば2015年の野村総研の試算では、グラフィックデザイナーは「代替可能性が低い100種」に入っていました。ところが2025年の世界経済フォーラムの報告は、生成AIの広まりで減っていく職業として、グラフィックデザイナーを挙げています。建設作業員は逆で、野村総研では代替可能性が高い側でしたが、世界経済フォーラムは2030年までに数が大きく増える職業に入れています。
順位を追うより、自分の仕事の中のどの作業が置き換わるかを見るほうが、自分ごととして考えやすいでしょう。作業の分かれ方は職種別:AIに置き換わる作業と、人に残る作業で紹介します。
AIに奪われにくい仕事の特徴(3つ)

AIに奪われにくい仕事には、大きく3つの特徴があります。AIをまったく使わない仕事というより、AIを使っても人が欠かせない仕事と考えると分かりやすいはずです。
気持ちをくみ取り、信頼をつくる仕事
相手の表情や声の調子から気持ちをくみ取り、信頼を築いていく仕事は、AIには任せにくいものです。介護や保育、カウンセリング、学校の先生などがこれにあたります。
野村総研の「代替可能性が低い100種」にも、保育士や社会福祉施設の介護職員、学校カウンセラーが入っています。AIが正しい答えを出せても、「この人に話したい」と思ってもらえるかどうかは別の話だからです。
体を使い、現場ごとに対応が変わる仕事
毎回ちがう現場で、体を動かしながらその場に合わせて判断する仕事も、置き換えにくい仕事です。建物の工事や設備の修理では、同じ作業でも現場ごとに広さや傷み方が違います。
世界経済フォーラムも、建設作業員や農業の働き手のような現場の仕事が、2030年までに数として最も増えると見ています。決まった環境で同じ動きをくり返す工場の作業とは、ここが大きく違う点です。
正解のない判断に責任を持つ仕事
会社の方針を決める、相手の事情をふまえて落としどころを探す、といった判断には決まった正解がありません。AIが材料や案を出すことはできても、最後に決めて結果に責任を持つのは人です。
野村総研の「代替可能性が低い100種」にも、経営コンサルタントや中小企業診断士が入っています。業種によっては、相手の安全や健康に関わる問い合わせにその場で答えを決めるような、現場での判断もこれにあたります。
AIに奪われにくい仕事の一覧(当サイトのまとめ)

次の表は、AIに奪われにくいとよく挙がる職業を当サイトでまとめたもので、こちらも順位は付けていません。
| 職業 | 奪われにくい理由 | 根拠(もとの調査) |
|---|---|---|
| 医療・介護・保育 | 相手の体や気持ちに合わせた対応が要る | 野村総研:外科医・内科医・社会福祉施設介護職員・保育士が「代替可能性が低い100種」に入る 世界経済フォーラム:看護などのケアの仕事は大きく増える見込み |
| 教師・講師 | 一人ひとりに合わせて教え、やる気を引き出す | 野村総研:小学校教員・中学校教員・大学教員が100種に入る 世界経済フォーラム:中学・高校の教員は増える見込み |
| 建設などの現場の技能職 | 現場ごとに状況が違い、体を使った対応が要る | 世界経済フォーラム:建設作業員は2030年までに数が大きく増える見込み (野村総研の2015年の試算では、建設作業員は代替可能性が高い側) |
| 企画・演出などのクリエイティブ職 | 何を作るかを決め、新しい考えを出す | 野村総研:アートディレクター・映画監督・舞台演出家が100種に入る (世界経済フォーラムは、グラフィックデザイナーを減る職業に挙げている) |
| 経営・コンサルタントなどの判断職 | 正解のない判断をして、結果に責任を持つ | 野村総研:経営コンサルタント・中小企業診断士が100種に入る |
| AI・ITの専門職 | AIを作る人、仕事に組み込む人が求められる >>AIエンジニアの仕事内容と目指し方 | 世界経済フォーラム:AIなどの進歩で、技術の専門職の需要が増える見込み |
- 出典:野村総合研究所ニュースリリースの【ご参考】「人工知能やロボット等による代替可能性が低い100種の職業」(2015年)
- 世界経済フォーラム「Future of Jobs Report 2025」の発表(2025年)
- いずれも2026年10月20日に確認しました。
教師・公務員はAIに取られない?
教師は、AIに取られにくい仕事に入ります。野村総研の試算でも、小学校・中学校・大学の教員は「代替可能性が低い100種」に入っていました。ただし、教師の仕事の中にもAIに任せやすい作業はあります。くわしくは教師・講師の項目を見てください。
公務員は、仕事の中身によって分かれます。同じ試算で、国や県・市町村の行政事務員は「代替可能性が高い100種」に入っていました。書類の受付や入力はAIに移りやすい一方、住民の相談に乗る、地域の事情をくんで決める、といった作業は人に残るでしょう。
文系・女性に多い仕事はどうなる?
ILOの2025年の報告では、生成AIの影響がいちばん大きい区分に入るのは、女性の雇用の4.7%、男性の雇用の2.4%でした。女性が多く働く事務の職業が、生成AIの影響を最も受けやすいためです。
文系か理系かよりも、ふだんどんな作業をしているかで影響は変わります。書類づくりや入力が中心なら置き換わる部分が多く、人と話して決める作業が中心なら残る部分が多くなります。
「AIに絶対奪われない仕事」はある?
「絶対に奪われない」と言い切れる仕事はありません。どの調査も、技術の進み方によって結果が変わる推計だからです。グラフィックデザイナーのように、10年で見方が逆になった職業もあります。
反対に、まるごと消える仕事も多くはありません。気にしたいのは職業の名前より、自分の仕事のどの作業がAIに移り、どの作業が残るかです。
職種別:AIに置き換わる作業と、人に残る作業

ここからは、社会人に多い7つの職種について、AIに置き換わる作業と人に残る作業を分けて見ていきます。あわせて、残る側に回るために身につけたいことも1つずつ書きました。
事務職
事務職は、生成AIの影響を最も受けやすい職業です。ただしILOも、議事録づくりや日程調整のような作業は生成AIで楽になる一方、実際にはまだ人の手がかなり要ると、2025年の報告で見直しています。
- 置き換わる作業:データ入力、決まった書式の書類づくり、会議の議事録の下書き、定型のメール
- 人に残る作業:誰に何を確かめるかを決める、例外への対応、ほかの部署との調整
- 身につけること:AIやExcelで定型の作業を短くし、空いた時間を調整や改善の仕事に回す
経理・会計
経理は、数字をルールどおりに扱う作業が多く、AIや会計ソフトに任せられる部分が広い職種です。一方で、数字の意味を読み、人に説明する作業は残ります。
- 置き換わる作業:領収書や請求書の読み取りと入力、仕訳、数字の照らし合わせ
- 人に残る作業:数字の動きから問題を見つける、経営者への説明、制度が変わったときの判断
- 身につけること:数字を読んで説明する力と、AIが出した結果を確かめる目
営業職
営業は、準備の作業がAIで大きく短くなる職種です。顧客と会って話す時間そのものは、むしろ大事になります。
- 置き換わる作業:提案資料のたたき台、顧客リストの整理、商談の記録づくり
- 人に残る作業:相手の困りごとを聞き出す、信頼関係をつくる、条件の交渉
- 身につけること:AIで準備の時間を減らし、顧客と話す時間を増やす
接客・販売・コールセンター
接客の仕事では、よくある質問への答えや会計が、チャットボット(自動で受け答えするAI)やセルフレジに移りつつあります。そのぶん、人に回ってくるのは込み入った相談です。同じ呼び名でも内容は幅広く、慣れるまで年単位かかる職場もあります。チャットボットの答えや自分で調べた内容が合っているかを、顧客が判断するのも負担です。
- 置き換わる作業:よくある問い合わせへの回答、会計、在庫の確認
- 人に残る作業:込み入った相談やクレームへの対応、その場での気づかい
- 身につけること:相手の話を聞いて、その人に合う提案をする力
ライター・翻訳・デザイナー
2015年の野村総研の試算では、フリーライターやグラフィックデザイナーは代替可能性が低い側でした。その後、生成AIが文章や画像を作れるようになり、2025年のILOの報告では、翻訳者と著述家が影響の2番目に大きい区分に入っています。
- 置き換わる作業:定型の記事や商品説明の下書き、決まった文の翻訳、広告画像のたたき台
- 人に残る作業:何を伝えるかの企画、取材、事実の確認、表現を最後に決めること
- 身につけること:AIの下書きを直して仕上げる力と、企画の段階から関わる力
エンジニア・プログラマー
ILOの2025年の報告では、Webの開発者やソフトウェアに関わる職業も、生成AIの影響が前の調べより大きくなりました。AIがプログラムのコードを書けるようになったためです。
- 置き換わる作業:よくある処理のコードを書く、テスト用のコードを書く、エラーの原因の手がかりを集める
- 人に残る作業:何を作るかを決める設計、AIが書いたコードの確認、安全かどうかの判断
- 身につけること:AIに作業を任せながら、コードを読んで確かめる力
教師・講師
教師は奪われにくい仕事ですが、授業の外の作業にはAIに任せやすいものが多くあります。ここを短くできると、生徒と向き合う時間が増えます。
- 置き換わる作業:テストの採点、プリントや問題づくり、お知らせの文の下書き
- 人に残る作業:一人ひとりの理解に合わせた教え方、やる気を引き出す声かけ、保護者との話し合い
- 身につけること:AIで教材づくりの時間を減らし、生徒と話す時間に回す
AI時代に求められるスキル

世界経済フォーラムも、2030年までに伸びるスキルとして、技術のスキルと並んで、考える力や人と協力する力を挙げています。ここでは、とくに大事な3つを紹介します。
AIを使いこなす力(使われる側でなく使う側へ)
いちばん身近で、今日から始められるのが、AIを使いこなす力です。同じ職種でも、AIに作業を任せて時間を生み出せる人と、そうでない人とでは、仕事の中身が変わっていきます。
必要なのは、プログラミングの専門知識ではありません。AIに頼む作業を選び、頼み方を工夫し、返ってきた答えが正しいかを確かめる力です。
人と話し、信頼を築く力
AIに作業を任せるほど、人に残るのは人と向き合う仕事です。相手の話を聞き、気持ちをくみ取り、信頼してもらう力は、どの職種でも価値が上がっていきます。
何が課題かを決める力(「何をするか」を決める側へ)
AIは、頼まれたことを速く、上手にこなします。けれども「そもそも何をすべきか」「どこに問題があるか」を決めるのは、いまも人の役目です。
「どうやるか」はAIに任せ、「何をするか」を決める側に回ることが、AIに奪われない働き方につながるでしょう。
残る側に回るための学び方(未経験の社会人向け)

残る側に回るための第一歩は、AIを自分の仕事で使ってみることです。未経験の社会人でも始めやすい順に、4つの学び方を紹介します。
まずは今の仕事で、AIに1つ頼んでみる
最初は、今の仕事の中から、AIに頼めそうな作業を1つ選んでみましょう。メールの下書き、会議メモの要約、資料の見出しづくりなど、小さなもので十分です。
AIの始め方と頼み方のコツは、AIの使い方を初心者向けにまとめた記事で紹介しています。
独学で1か月続ける
慣れてきたら、1か月を目安に、毎日少しずつAIを使う習慣をつけましょう。使う場面を少しずつ広げると、どの作業がAIに向いているかが自分で分かるようになります。
何から勉強すればよいかは、AIの勉強の始め方をまとめた記事で、週ごとにやることを紹介しています。
セミナーで短く試す
1人で進めるのが不安なら、数時間で受けられるセミナーで試してみる方法もあります。講師が実際に使う様子を見られるので、自分の仕事での使い方を思い浮かべやすくなります。
生成AIのセミナーは、生成AIのセミナーをまとめた記事で比べられるので、参考にしてください。
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スクールで体系的に学ぶ
仕事で使えるところまで早く身につけたい、1人では続かない、という方は、スクールで学ぶのも1つの方法です。分からないところを講師に質問しながら、基礎から順に学べます。
生成AIを学べるスクールは、生成AIを学べるスクールをまとめた記事で、学べる内容や料金を比べました。

AIを使った副業については、AIを使った副業をまとめた記事で紹介しています。
AIに奪われる仕事でよくある質問
AIによってなくなる15の仕事とは?
「15の仕事」という決まった一覧はありません。15や10といった数は、それぞれの記事が選んだものです。
もとの調査として多く使われる野村総研の試算は、10〜20年後に技術的には代替できる可能性が高い職業の一部として、100種を挙げています。主な職業はAIに奪われやすい仕事の一覧の表で確かめられます。
AIに奪われない7つの職業はある?
「7つ」という決まった一覧もありません。よく挙がるのは、医療・介護・保育、教師、現場の技能職、経営などの判断職です。
理由とあわせて、AIに奪われにくい仕事の一覧で紹介しています。
AIが不可能な仕事は?
AIが苦手なのは、相手の気持ちをくみ取って信頼をつくること、現場ごとに体を使って対応すること、正解のない判断に責任を持つことの3つです。
くわしくはAIに奪われにくい仕事の特徴を読んでみてください。
AIに奪われない資格を取れば安心?
資格だけで決まるわけではありません。同じ資格を持っていても、仕事の中のどの作業を自分が担うかで、AIに置き換わる部分は変わります。
資格を増やすより、今の仕事でAIを使い、どんな作業を任せられるようになったかという実績のほうが、自分の強みとして見てもらいやすいでしょう。
職種ごとの作業の分かれ方は、職種別:AIに置き換わる作業と、人に残る作業で紹介しています。
まとめ
AIに奪われやすいのは、ルールや手順が決まった単純作業・データ処理・定型業務が中心の仕事です。この記事のポイントは次の3つです。
- 「49%」は、技術的には置き換えられる確率の高い職業に就く人の割合で、「49%の仕事がなくなる」ではない
- 気持ちをくみ取る仕事・現場ごとに対応が変わる仕事・正解のない判断に責任を持つ仕事は残りやすい
- 多くの仕事は、まるごと消えるより、仕事の中の一部の作業がAIに置き換わる
まずは、今の仕事の中でAIに頼める作業を1つ見つけて、試してみてください。AIに任せる作業と自分に残る作業が見えてくると、次に何を学べばよいかも分かってきます。
体系的に学びたくなったら、生成AIを学べるスクールをまとめた記事から、自分に合う学び方を探してみましょう。

